第2章 敏腕小姑従者登場
「いつもの娯楽に参りましょう?」
娯楽とは?こんな魅惑の女性騎士から誘われたら、ちょっぴりいかがわしい想像をしてしまう。
「カオリ、この後少し休みたい。」
あ、女性騎士たちがニヤリと笑みを浮かべた。ルー様が誘いに乗ったと思ったのだろう。
だが、私の指先に口付けるルー様を見て、怪訝な表情をする女性騎士たち。今までそんなことをしたことがなかったのだろう。
「ル、ルーチェス様、私たちがお供をっ。」
あれ?敏腕小姑が、女性騎士たちを見下ろしています。物凄い圧を出しています。
「勘違いをするな。ルー様が傍に置くのは恋人であらせられるカオリ様のみ。それに、今日の貴女方は少々集中力が欠けていたかの様に見受けられたが?」
えっと、どうしてこうなったの?何故、敏腕小姑と女性騎士が対峙してることになってるの?
「ルー様、止めなくていいのですか?」
「あぁ、問題ない。私の執事は無能では務まらないからな。ただ見ていればいい。その気遣いが無用だと分かる。」
女性とはいえ、相手は騎士服を着て立派な剣を持った騎士。ハラハラとしていると、腕比べが始まった。が、秒で終わった。女性騎士の剣が、空を舞っている。一瞬の出来事だった。
「言った通りだろう?」
「そうですね。でも、それでも心配はします。」
「・・・そうか。」
拗ねた?今、拗ねたの?
「ルー様、時間が無くなりますよ?急ぎましょう。」
手を握り締めれば、気持ちが浮上したらしい。表情は変わらないけれど、握り返してくれたからそう思うことにした。
「二人きりになりたい。」
耳元で囁かれ、頷くとその場からさっさと歩き出した。本当に可愛い人だ。
連れられて向かった先は植物園。その一角にあるソファーに座らされ、私の膝に頭を置いたルー様。
「15分だけ休ませてくれ。」
「はい。」
綺麗な瞳が閉じられた。直ぐに寝息を立て眠ってしまったルー様。そっと綺麗なその髪に触れ撫でる。
ねぇ、私って青春してる?出来てる?赤女も、まさか異世界までは・・・来ないよね?ね?
・・・来そうかも。
そうしたら私・・・今度は、ルー様を手離さないといけないのかな?赤女は兎も角、騎士団ですらまだルー様を思っている人がいるんだもの。
浮気は嫌だな・・・。次、またされたら・・・。