第2章 敏腕小姑従者登場
壁際に椅子を置いてくれ、直ぐ傍に敏腕小姑のオリバー様が護衛として付き合ってくれた。
あちこちで剣がぶつかる音がする。ルー様もその中で、懸命に剣を振っていた。
「如何ですか?我が主は。」
「オリバー様は、私のこと反対なさらないのですか?」
「そうですね。4年前までなら反対していたと思います。今は、可能なら逃げられない様に鎖で繋ぎとめておきたいほど歓迎しております。」
両極端な意見だな。でも、反対されていないのならいいのか?
「4年前に何があったのかお聞きしても?」
「ルー様は見ての通り、あの見目でしょう?大層、女性の注目を浴びて来られました。その中、一際、ルー様にご執心の令嬢がおられたのですが・・・一向に変わらないルー様の表情に耐えられなくなり、激しく罵られました。それは全ての人格を否定する様に。」
「ルー様は、その令嬢のことをどう思っていらっしゃったのですか?」
「それなりには気を許しておられていたと思います。だからこそ、あの事があってから女性を寄せ付けなくなりました。」
人格否定されたら誰だって・・・。
「あんなに可愛い人なのに・・・。」
「可愛い人ですか?」
「はい。私にはそう見えます。少なくともルー様と出会えてよかったと思っていますから。」
「左様ですか。・・・ルー様がそれを聞くと、喜ばれると思います。」
しかし、騎士団の中にはルー様を慕う者もいる様で気を付ける様にと言われました。女性とはいえ、騎士団に在籍する人だ。襲われたら簡単に死ねそうかも。
それにしても、汗がキラキラして二割増しで見目がいい。歴代の元カレなんて足元にも及ばない。あんな素敵な人が私なんかの恋人でいいのだろうか?
本人がいいって言うし、国王様もいいって言ってくれたんだからいい?悩むなら何か起こってから悩もう。
二時間ほどの鍛錬は終わり、騎士の人たちと同じく水浴びをしているルー様。水も滴るいい男の模範だ。オリバー様から預かっていたタオルをルー様に差し出す。
「ありがとう。」
「お疲れ様でした。」
この後のことを聞こうとした時、女性の声が聞こえた。振り向けば、騎士団の女性。私を押し退け、ルー様に近付く。挨拶の時に、私を睨んでいた女性騎士たちだ。
背も高いし身体つきもそれに反して女性らしい出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる魅力的な体躯だ。