第2章 敏腕小姑従者登場
「ジェイク殿下が、カオリ様に興味を持っておられるそうですよ。お会いしたいと仰られている様ですね。」
殿下って王子のことよね?この国で王子はルー様だけ。ってことは、隣国の?
「そうか。」
「早めにお会いなさった方がいいと思いますよ?」
何故か、ルー様に向かって言っている。
「機会はあるだろうから、わざわざこちらから会いに行く必要などない。」
「出過ぎた真似を、申し訳ありません。」
あ、会話は終わったの?えっと、私はどうすればいいの?異性好きの王子なんか会いたくないのだけど。
暫くして、静かな部屋も昼食を知らせるメイドさんのお陰で息抜きが出来ることとなった。昼食の場所は、中庭にあるガゼボだった。勿論、二人っきりである。そして、距離が近い。
近いのに、その近距離から私を見ている。だから、緊張するからっ!!
「人を恋し慕うと、こんなに充実したものになるのだな。」
「嬉しいですか?」
「あぁ、そう見えないだろうが。」
「そんなことないですよ。」
ルー様に笑い掛ければ、少し目を伏せ耳を赤くしていた。可愛いなぁ、ルー様。
「オリバーとは、上手くやっていけそうか?オリバーは敏腕小姑の様だから、何かあれば私に言ってくれ。」
「敏腕小姑ですか。そんな言葉が言えるなんて、信頼されているのですね。」
「あぁ、幼い頃からずっと一緒だったからな。」
どうやら幼馴染みらしい。微笑ましく思っていると、私の頬を撫でるルー様。
「この先は、カオリも一緒だ。」
表情は変わらないけれど、声は嬉しさを帯びている。そして、絡められた指先からもルー様の思いが伝わって来る様だ。
食事の後は、恋人同士としてキスしたりハグしたり・・・それが繰り返された。
「お昼からは、何をすればよいのですか?」
「今日は剣の鍛錬に騎士団訓練所へと行く。付き合ってくれ。皆に紹介しよう。」
恋人を連れ歩く彼氏的存在なのだろう。無表情だけど、足取りは軽い。ただ、躊躇なく衣服を脱ぎ着替えるのは前もって断わって欲しかった。
訓練所には、数十人の騎士がいた。騎士の中には、女性も含まれている。騎士が整列しルー様を迎い入れる。そして、ルー様より私は紹介された。
女神の代理人であり、ルー様の恋人として。若干、騎士の女性から鋭い視線を貰ったけれど、それも仕方ないなぁとしか思わなかった。こんなイケメンだもの。