第16章 太陽王
下衣の前がはだけ、素肌が露わになる私たち。
ナンの鍛え上げられた逞しい胸板から目が離せない。
――――そしてその下に目線を落とすと………
「……っ!あんまり見るなよっ!」
ナンは滑り落ちた下衣で下半身を隠した。
「ああああっ!くそっ!」
ナンはせっかく綺麗に整えられた髪を掻きむしった。
「………どうしたの?」
「……お、俺、武術ばかりやってて女のことまったく分からないから五兄に教わってきたのに…………全然手順どおり出来てねえ!カラダが言うこと聞いてくれねえ!
ごめんな…………ネズ。」
ナンの過剰とも言える生真面目さに可笑しくなったが、それ以上に嬉しかった。
「どうでもいいよ、手順なんて。」
今度は私から口づけた。
「……んっ!」
「楽しくやろうよ、私たちらしく。」
ナンは小首をかしげて少し考え込んでいたが、
すぐにいつものいたずらっ子の表情(かお)に戻った。
「それもそうだな。その方が俺たちらしい!」
そして私たちはくすくす笑いながらじゃれ合う様にして、周りに白い花があしらわれた寝台に転がり込んだ。
「しかし遅っそいなあ!」
五王様は苛立ちながら湖の方を見やる。
夏至の女王と太陽王が結ばれた時、祭祀役から城の庭に知らせが入ることになっていた。
「野暮なこと言いなさんな。
ゆっくりお楽しみなんでしょう?」
燦姫様は悠然と盃を傾ける。
「あいつヘマしてないだろうなあ!」
「五王と艶姫で教えたんでしょ。
それなら上手くやってるよ。
万が一ダメでもネズが何とかしてるさ。
そのへんはちゃんと仕込んであるからさ。」
「………!姉上〜〜いったい鼠姫に何を?!」
「……それは秘密だよ、ねえネコ。」
燦姫様はお酒が入ってしなだれかかっているネコさんを細い指で撫でた。