第16章 太陽王
――――季節は巡り今年も「夏至祭」が近づいてきた。
今年から「夏至の女王」はくじ引きではなく、「立候補」制となった。
女王の役割をすべて明らかにした上でだ。
対象は一年目の婢女に限らず、処女であれば誰でも良いことになっている。
昨年の女王、茅乃が心身を壊してしまったことから無理強いは良くないということになったのだ。
三王様の事件も影響している。
ところが誰も名乗り出なかった場合はくじ引きになるという噂が立ち、後宮は大騒ぎになった。
「絶対イヤッ!」
「お父さんとお母さんが聞いたら泣いて悲しむわ、どうしよう………」
婢女たちは皆怯えている。
洗濯場で、ある婢女がうずくまって泣いていた。
「私は…私は故郷に結婚を約束した人がいます。もし私が女王に選ばれた時は………自ら命を絶ちます!」
周りの婢女たちも泣き出した。
(…………命を絶つだなんて……)