第15章 産声
後宮に産声が響き渡った。
「……産まれたぞ!皇子だ。俺の子だ!」
三王様はまだへその緒を付けたままの赤子を掲げ持った。
「やったわね。これで一王の座は確実よ。やがては帝よ。そして私は皇后!!」
麗姫様は勝ち誇った様に笑う。
バタン!
大きな音がして堅く閉じられていた部屋の戸が蹴破られた。
五王様の一団だ。
「兄上、そこまでです!」
五王様の長い槍が三王様の喉元に突きつけられる。
「ひいっ!」
慌てて逃げようとした麗姫様も雪崩れ込んできた兵士にあっさり捕まった。
あらかじめお呼びしていた一王様と大奥様が悠然と姿を現された。
「三王、これはどうしたことか?」
「………………っ!」
兵士に羽交い締めにされている麗姫様がもがきながら叫んだ。
「あたしは何にも悪くないわっ!この人に言われて脅されてやっただけっ!」
「……何言ってるんだ!?お前とお前の家族が俺を巻き込んだんだろうが!」
三王様が言い返す。
「見苦しい!!」
一王様が一喝して二人は押し黙った。
「婢女とはいえ国の大事な財産だ。その財産をいくつも軽んじた罪は重い!」
「………………っ…」
控えていた産婆さんがさっと入ってきて、沙良と赤ちゃんを手当してくれた。
こうして三王様と麗姫様の悪事は暴かれ、二人とも捕らえられた。