第7章 短夜
「だけどネズ、負けは負けだよ。覚悟しておきな。」
(えぇ…………)
快感に浸っている場合じゃなかった。
「ネコにはご褒美(これ)だね。」
姫様は桐の箱から例の象牙で出来たモノを取り出した。
「ネズ、祭りでもコレ使ってたの見ただろう?コレは『張り型』っていうんだ。
妃や女官たちもだいたい持ってるよ。あのとりすました大奥様なんて職人にすっごいの造らせたって話だよ。」
姫様はクククと愉しそうに笑った、
「先にネズの罰だね!」
そう言って姫様は天井から垂れ下がっているループ状の薄布を引っ張って下ろした。
「実はコレは飾りじゃないんだよ。
薄布に見えるけどかなり丈夫だ。
ネズ、コレに跨がりな。」
(え―――――っ……)
「サッサとやるんだよ!」
こわごわ跨がると脚のつま先が浮いた。
メリメリと布が割れ目に喰い込んでいく。
「い、いやぁ……!」
「まだまだこれからだよ。」
痛みは感じなかった。そのかわり喰い込んだ部分がかぁっと熱くなってさっき昇天したばっかりなのに、また快感が押し寄せてきた。
「ネコ、揺すっておやり。」
ネコさんが左脚を伸ばして布に絡め、クイと布を引いて放つ。
ブランコの様に私を乗せた布が揺れる。
ギシギシと天井が鳴る。
揺れるたびに布はどんどん喰い込んできて快感も増してくる。露が布から滲み出してポタポタと床に落ちていた。
「んっ……キモチいっ…」
落ちない様に私はギュッと布を握りしめた。
胸の間にも布は喰い込んでいて、乳房が前に迫り出している。
赤く充血した乳首を姫様がピンと指で弾いた。
「何だ何だあ?こんなに歓ばれちゃあ罰にならないね。」
やがて「揺れ」が止まってしまったが、私は欲するままに脚で漕いで快感を貪った。
「こらこら、天井が抜けちまうよ。」
姫様の諌める声も届かなかった。
本当に抜けそうなくらい、布が引っ掛けられた天井を軋ませて私は派手にイッた。
布の上で宙吊りのまま、私は意識を飛ばしていた。
「……あとで床拭いておくんだよ。ネズ。
さあネコ、お待たせだね。」
ネコさんは既に四つん這いになって尻を突き出していた。
ズブブ……
何の抵抗もなく張り型が呑み込まれてゆく。
姫様はその様子を見て満足気に言う。
「ネコ、今夜は私にも挿れておくれな…………」