第3章 cute aggression
「他の男と寝ちゃだめだよ。キスもだめだからね」
2人でベッドに寝そべる。私を抱き寄せて耳元でそう囁いた。それが怖くて仕方なかった。
「もし他の男と浮気したらその男も殺すけど………澪のことも殺しちゃうかも」
「浮気なんて言われなくてもしないから」
「冗談だと思ってるかもしれないけど、俺本気だからね?俺の事好きじゃない澪なんて、死んじゃえって思う」
ほんとにこの人は危ない。だけど、碧をこうさせたのは私の方なんだと思う。どこかで碧を不安にさせた。それが積もりに積もっておかしくさせてしまった。全部、私が悪い。
「碧こわいよ」
「澪がいけないんだよ。こわいなら俺を安心させて」
最初はこんな束縛だってしてこなかったのに。私が悪いことはわかっている。でも何がこうさせたんだろうといつも考えるけど、答えは出ないばかり。
「あんしん、させるよ」
「うん。他の男も視界に入れないで。俺だけ見てて」
すぐに口付けられる。それは次第に深くなって、上手く息が吸えなくなる。ぬるって舌も入ってきて絡め取られる。酸素が足りない。引き剥がそうとするけど頭を押さえられて離れられない。
「くるし、い」
「だめ」
一瞬口が離れたかと思えばまたすぐにキスが始まる。呼吸をするには不十分で、息苦しさは増すばかり。隙間から声が漏れてしまう。唇を食べるみたいなキス。頭が溶けちゃいそう。何度も角度を変えて、部屋にはリップ音だけが響く。
「はぁ、っ、ほんとにいきできない」
「澪が息吸うの下手なだけだよ」
満足したのか口が離れた。私は顔を背けて思いっきり息を吸い込む。碧は無防備になった私の首に顔を埋め、キスを落とす。それがくすぐったくて身をよじる。だんだん触れるだけだったのが強く吸われるものに変わる。