第2章 王子様の秘密
この学校には、誰もが憧れる王子様がいる。
性格よし、容姿端麗、スポーツ万能、頭もいいハイスペック男子。
(霧島 碧……………)
心の中で彼の名前を呟く。
そんな彼とは同じクラスだが、住む世界が違いすぎてまともに話したことも無い。
そんな彼が今目の前で告白されている現場に出くわしてしまった。
現在放課後。日直だった私はごみ捨てを頼まれ、裏庭にあるごみ捨て場に来ていた。
ゴミも捨て、教室に戻ろうとした時。
「好きです」
道を塞ぐようにして告白を繰り広げている。
気づかなかったらそのまま突っ込んでくとこだった。本当に気まずいから早くこの場を後にしたいところではある。
「気持ちは嬉しいけど、君とは付き合えない。ごめんね」
振られちゃったかあ。相手の女の子はすごく可愛いし、霧島くんにお似合いだと思ったのに。
「ううん。大丈夫。話聞いてくれてありがとう」
女の子は潤んだ目を手で覆いながら、走ってその場を去った。
「キモすぎ。本気にすんじゃねえって何回言ったら分かんだよ」
私は開いた口が塞がらない。いったい目の前で暴言を吐いているこの男は誰?
「は…………」
しまった。つい声が出てしまった。
「誰かそこにいんの」
やばい。息を殺して身を潜めるけどもう手遅れに近い。
こちらに近づいてくるのがわかった。私、今日で死ぬのかな。
「盗み聞き?趣味悪いね」
「ち、ちが!!これはたまたまでっ!!」
盗み聞きなんかじゃない。私はただ、ゴミを捨てに来ただけなのに!!
「てか、霧島くんそんなキャラだったんですね」
「だったら悪い?」
圧がすごい。もう、黒いモヤモヤが彼を取り囲んでるのが分かる。
「女は遊び道具に過ぎねえの。本気にされると面倒」
確か、ひとつ悪い噂もあった。それは女遊びが激しいってこと。
彼は顔が良すぎるし、カーストも上位な訳で。むしろ女の子は遊ばれたいって思ってる子の方が多かったりする。
私は一切そんなこと思ったことないけど!