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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第16章 忠誠を極めた攻略者


「どうして反対するんですか?ロイド様から、あの女を奪ったのはこの女ですよ?だったら、身代わりとしてこの女の身体を差し出せば解決するじゃないですか。欲しかったでしょう?この女を好きにしたかったでしょう?」

王子は攻略キャラのこの学友の言葉に、驚愕していた。

「でも、ロイド様の身分としてもしものことがあれば困ったことになりますから、私がこの女を孕ませれば好きに抱けるんですよ?生まれた子を人質にすれば、一生この女はロイド様のものになるんです。ロイド様の為に俺はやったんですよ?」

全ては、王子の為だと信じて疑わない攻略キャラに戦慄を覚えた。

「私はそんな事を望んでいない。」
「俺には分かっていますから。確かに、あの女はいい体をしていましたよね。でも、この女も悪くないと思いますよ?」
「どうして、お前がいい体だと・・・まさか?」
「心酔するロイド様が欲したんですから、私も興味を持ちまして何度か味見をしただけです。」

主人公、受け入れたの?そうなの?

「あ、まだあの女が必要ですか?俺が囲っているんで、何ならお譲りしますよ?」
「もういいか?聞くに堪えん。」
「あ、近づくなよ?この女の首、へし折るぞ?こんな華奢なら簡単だろう。」

ゾワッとする感触が首に触れる。

「さぁ、ロイド様。俺と一緒に行きましょう?」
「バーカ。」

それは私たちの背後から聞こえ、気持ち悪かった手はアッサリと剥がれ地べたに押さえつけられていた攻略キャラ。

「フラン様っ!?どうして?」
「フフ、秘密。シェラ、どうする?」
「トルン様のところに連れて行ってくれ。」

暴れ出した攻略キャラだったが、フラン様の腕から逃げ出せなかった。縋るような目で王子を見ている。

「私も、兄上のところに行こう。その前に・・・サザライト嬢、本当にすまなかった。」

王子が頭を下げた。

私はこの時、緊張が解けたからか意識を失くした。


目覚めた最初に視界に入って来たのは、私の部屋だった。先ず、その事に安心する。

視界を彷徨わせば、暗闇の中、何か形作るものに気付いた。そっと触れて見れば、慣れた感触。

「シェラザード様・・・。」
「目が覚めたのか?」
「はい。ずっと、起きていらっしゃったのですか?」
「目覚めた時に、アメリアが不安にならないようにな。」

腕の中にギュッと抱き締めてくれる温かさ。



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