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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第16章 忠誠を極めた攻略者


美術室は教室がある建物の隣りにある。急いで向かい、美術室の扉を開けた。丁度、中央の大きな机の上に、作品らしきものが置かれていた。

が、その絵は私のものでは無かった。周りを見回せば、部屋の隅に置かれたゴミ箱に同じ画材らしきものがあることに気付いた。

そして、ゴミ箱から取り出すと、刃物で切り裂かれた私の絵画だと言うことが分かった。

これも嫌がらせ?

「あ、見つかっちゃった?」

振り向けば、直ぐ背後にさっきの攻略キャラがいた。

「隠そうともしてなかった気がしますけど。」
「正解~。どうせゴミなんだし、捨てちゃっても問題ないでしょ。」
「だったら、どうして私を呼びに来たんですか?」

ニタッと笑うその笑顔に私は後退った。何か、この人ヤバい。危ない人だ。

「お前を傷物にして、あの方の物にするために決まっているじゃないか。」
「あの方?」
「今日はたっぷり俺が傷物にしてあげるから感謝して?」

何が感謝だ。自分で手籠めにして、それからだなんてどう解釈したらそうなるんだ。

「シェラザード様が助けに来てくれます。」
「あのメモなら、ほら、ここに。それと荷物も適当なところに捨てちゃったから。あの方の為に俺が孕ませてあげる。あ、勘違いしないで?孕んだ後は、あの方に気兼ねなくお前を抱かせてあげる為だけのことだから。」
「狂ってる。」

逃げ出そうとしたけれど、その願いは叶わなかった。気持ち悪い笑い声を発しながら、私を羽交い絞めにする。

「アイツとはどんな風にヤッてんの?堅物のアイツだから、どうせ何の面白みもないんだろうけど。場所はここでもいいや。さっさと俺の子種いっぱい注いであげるよ。」
「止めて!!」
「仕方ないだろ?お前らが、あの女を奪ったんだから。だから、代わりにお前があの方に身を差し出せばいい。大丈夫、孕んだら認知だけはしてやる。でも、お前は一生あの方の性奴隷だ。」

ここまで言われたら、あの方が誰かなんて分かった。でも、分かったからと言って、腕力では太刀打ちできない。

「ヤダ、シェラザード様助けて!!」
「やっと、私の名を呼んでくれたな。」

廊下から現れたのは、シェラザード様と王子だった。どうして、この二人が?

「サザライト嬢を解放しろ。」

そう言ったのは、王子だった。
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