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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第16章 忠誠を極めた攻略者


シェラザード様が言った意味を理解出来なかったのか、呆けた顔をしていた令嬢たち。

「公爵家を馬鹿にしたも同然だが、今、私が言ったのはそういう事ではない。だが、この事は正式に公爵家から抗議を入れるが・・・お前たちが言った二人の内の一人には謝罪はないのか?」
「「も、申し訳ございませんでした!!」」

可哀想なくらいに縮こまった二人。でも、誰も助けようとなんてしない。いや、出来なかった。

一見、平坦な声色。そして、表情もいつもの真顔。でも、纏うオーラは違っていた。

「この先、また同じようなことが起きたら、私は全力でその者の敵に回ろう。それを忘れるな。」

令嬢たちは震えあがり、教室から逃げるように出て行った。

私はと言うと、あまりにものシェラザード様の剣幕に、何も言えなかった。

「アメリア、どうしてそこに座っている。私の隣りに来い。」

相変わらず平坦な声だけど、もうあのオーラは離散していた。差し出された手に、私の手を乗せた。

「アメリアが気を遣う必要などない。堂々と私の隣りにいろ。いいな?」
「はい。」
「それでいい。」

勉強を見て貰っていた令嬢は、いつの間にかいなくなっていた。終わったのだろうか?

「あの・・・勉強は?」
「軽く説明すれば理解した様だったから終わらせた。」

終わらせた・・・そうですか。

「それで、何だったのだ?先生の呼び出しと言うのは。」

私が席を外していた理由は呼び出しだった。

「私の落とし物を預かっていると言われました。」
「落とし物?何だったんだ?」
「リボンだったのですが、私の物ではありませんでしたのでそうお伝えしました。」

今、私の髪に結ばれているリボンに目を向けたシェラザード様。そして、少し考え込んでいる様子。

「そのレースのリボンのは、侯爵家で生産されている物だったよな?似ているものだったのか?」
「似てると言えば、そう見えなくもないのですけど。違う物でした。それに、そもそも落とし物をしていませんし。」
「そうか。・・・まさかな。」

意味が分からずシェラザード様を見詰めれば、髪を撫でられる。考え事は終わったみたいだ。

「シェラザード様、さっきは」
「礼なら不要だ。私は当たり前のことしただけだからな。こんな愛らしい婚約者を悲しませる訳にはいかない。」

でも、それでも私はちゃんとお礼を告げた。


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