第14章 狙われた貞操
「生徒会の紅茶に、睡眠薬を盛る予定だったらしい。菓子にも同様に。だが、その思惑が上手くいかなくて、急遽、あんな暴挙に出た。アメリアを眠らせて、男爵家の別荘で事に及ぶ事になっていた。アメリアにも言っただろう?二人は夜伽を済ませていると。その二人が逢瀬に使っていた屋敷だ。ロイドにアメリアを襲わせ、それをカミングアウトして私から奪い取ろうと画策したと。ロイドはあの令嬢の体に執心だったようで、その上アメリアもと思ったら欲が止まらなかった様だ。獣のように、二人は逢瀬を重ねていたらしいからな。」
最後のその情報はどうでもいい。勝手に愛を育んでくれ。
「後、もう一つ。今回は未遂だ。つまり、トルン殿下が王族として謝罪というパフォーマンスの為にアメリアを王妃にと所望するだろう。幾ら未遂で、事件を公表されなくともな。」
「王妃!?」
「あの方が考えそうなことだ。あの方は、ロイドを身内として思っていない。だからこそ、ロイドは私にその分の情を求めたのだろう。」
何故、身内だと思わないのだろう。たった二人きりの兄弟なのに。
「昔から、その考えは変わらない。ただ、一つだけ良かったのは、ロイドに国王になる気持ちが無かったこと。だから、上辺は仲がいいように見えなくもない。」
それを知っているから、シェラザード様は王子のことを嫌いになれなかったのかもしれない。芯の部分は、優しい人だから。
「あの二人はどうなるのですか?」
「令嬢は平民へ。下男は国外追放。ロイドは・・・一生、王族として飼い殺しだ。誰かを娶ることも子を成すことも許されない。幸いにも、あの令嬢との時は避妊は欠かさなかった様だし・・・あっ・・・。」
あっ?何、その今思い出したようなその感じ。
「・・・重ね重ね、申し訳ない。避妊を忘れてた。」
「はい?忘れてた?」
「その・・・もしもの時は、ちゃんと責任を取るから私に隠さず伝えてくれ。その・・・アメリアの体を前にしたら、つい・・・。」
そんな、つい・・・なんてことも聞きたくなかった。
結局、一番危ない人はシェラザード様だったのでは?
「あまりにも体の相性が良くて、我を忘れていた。私も、ロイドのことをとやかく言えないな。」
激しく同意。私の決心を返して欲しい。