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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第14章 狙われた貞操


それでも、その一番危ない人に感謝する時が来た。

だって、本当に言われたんだもの。あの兄王子から、不貞を働こうとした弟に代わり、王妃として迎えようと思うだなんて。

思わず笑いそうになった。いや、笑いそうになれるだけまだ余裕があるということ。もし、シェラザード様の見切り発車が無ければ、私は王族に名を連ねる羽目になっていたのだから。

そして、今は昼休みの学園内。いつものベンチの場所である。因みに、あの日も公爵家に泊まらされた。

「殿下の仰られていることは分かりました。」
「こんなことになってすまないね。でも、シェラの代わりに大事に扱うから。」
「いえ、そういう分かりましたではありません。」

否定するシェラザード様の顔を見て、一瞬だけ苦い顔をした兄王子。

「そうか・・・遅かったんだな。本当、優秀過ぎて嫌になるよ。だからこそ、僕の陣営に欲しいのだけど。でも、もし・・・僕がそういうことを気にしないと言ったらどうする?」
「そんな害にしかならない選択肢を選ぶとは思えません。それに、ひょっとしたらこの腹の中に私の種が芽吹くかもしれませんし。」
「増々、嫌になるな。分かった。諦めるよ。でも、くれぐれも油断は禁物だよ。あぁ、それと。愚弟のことだけど、予定通りにするから。」

私はシェラザード様にしがみついて、二人の遣り取りを見守っていた。

「そうですか。」
「シェラ、羨ましいって思うのは本当だよ。じゃあね。」

シェラザード様は兄王子の言葉の意味を理解したようで、驚いた顔を浮かべていた。

「シェラザード様?今のはどういう・・・。」
「さぁ何だろうな。でも、どんなことになっても結果は同じだ。本当に・・・もっと、私の子種を注ぎたくなった。」
「えっ?」

冗談だと言ったシェラザード様だったけれど、あの眼差しを見て冗談ではないのではと思った私。

「殿下は完全に諦めた訳ではないだろうから、気を付けてくれ。間違ったら、私より先にアメリアを孕ませるかもしれない。」
「えっ、い、嫌です。」
「私もそうならないように、尽力する。では、今晩もウチで愛を囁こうか?」

いえ、家に帰ります。って、そんなガッカリした顔をしないでください。私の方が悪いことをした気分になるではないですか。
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