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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第13章 憂いの理由


あんなに怖いなと思っていたけれど、今は通常運転になりつつある甘い時間だ。たくさんシェラザード様から口付けされ、眠る頃には息も絶え絶えになっていた。

「では、おやすみ。また明日。」

扉の前で、少し長い口付けの後、部屋を出て行った。


翌朝の食卓。またしても、私はジト目で今度はお母様を見ていた。今朝の献立は、前世で泊ったホテルの夕食に出るような和食である。

お味噌汁・・・はぁっ、ホッとする味。じゃなくて!!どこの世界に、煮物や天婦羅や焼き魚に・・・湯豆腐を食べる貴族がいるの。

仕方ないので、私が一から説明する羽目になったのだけど・・・朝から、そんなに食べられるはずないっ!!でも、シェラザード様は、天婦羅も湯豆腐もお替りしてた。

「あれは病みつきになる。」
「お気に召して頂いたのは良かったのですが、あんなに召し上がられて大丈夫ですか?」
「今日は、剣術の授業で体を動かすから問題ない。」

そうですか。剣術の授業。令嬢たちは、その間は刺繍の授業となっている。

教室は、本当に変更されていた。二人減った元クラスに、シェラザード様を狙っていたあの美人の令嬢が移って行った。

ただ、もう一人気になるのはあの鉄壁を作っては私を隠そうとしていたあの令嬢。そう思っていたのだけど、杞憂でした。

座席はシェラザード様の隣り。休み時間には、身を寄せて私を弄ったり揶揄ったりに夢中なシェラザード様。クラスメイトの令嬢たちは、私たちの間に入る隙がない。

それでも、シェラザード様に頑張って声を掛けてくる令嬢たちがいるのだけど、安定の拒絶で会話が続かない。

私の方はというと、時折、髪や頬に口付けされ心の中は賑わしい。やんわりと押し返しても、腰に回された腕によって意味なんてないのだ。

そして、シェラザード様は私の心をドロドロにと言っていた気がする。でも、今のこの状況は私のではなく、シェラザード様の方がでは?と感じてしまう。

で、たまに唇を奪われて体が跳ねるのだけど。もう、羞恥で死にそう。

シェラザード様が言っていた剣術の授業は、刺繍をする私がいる教室から見ることが出来た。初めて目にする剣を持ったシェラザード様。

似合っていてカッコイイ。腕前もかなりなもので、悉くクラスメイトたちを蹴散らしている様だ。と、見惚れている場合ではない。








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