第13章 憂いの理由
確かに、昨晩、言った。クリームコロッケ食べたいって。でも、何で今なの?そして、メアリーの言葉を復唱したのはシェラザード様だ。
何処からどう見ても、それは何?って目を私に向けている。
「私に二つ。シェラザード様に三つ持って来て。」
「畏まりました。」
私のオムライスはいつも小ぶりだし、軟骨の唐揚げは食べていない。サラダもそう多くはなかった。でも、何故、今なの?
トマトソースが掛けられたクリームコロッケが運ばれて来て、シェラザード様は躊躇なく口に入れた。熱いのでと注意をしておいたから、火傷はしなかったもののそれでも思ったより熱かったみたい。
「んっ、これも美味しい。」
いつもなら美味いって言うけど、両親の前だから美味しいだ。そして三個ペロリだった。
私が二個目を食べる時には、もう完食されていた。好みだったのですね。本当に!!
「アメリア、シェラザード様になら構わないよ?」
「シェラザードで構いません。」
「そうかい?では、そうしよう。」
お父様・・・諦めたのですね?色々と隠すのを。
食事の後、湯あみを終え部屋に戻ると、シェラザード様が私の部屋のソファーで本を読んでいた。だから、嫁入り前の娘なのですが?
「すまない、待たせてもらった。」
「いえ、何かお話しでも?」
「いや、話しと言うか。アメリアに会いたくてな。」
隣りに座ると、当たり前に引き寄せられた。私の頭に顔を埋めている。
「いい匂いがする。このまま食べてしまいたい。」
その食べると言うのは物理的に?それとも?
「冗談だ。あぁ、明日からクラスは私のクラスに編入だからな。先程、その決定された連絡が届いた。」
今の私には、反論なんて出来なかった。こんな風に守ってくれるシェラザード様に、反論なんて出来ない。そして、お礼をしなくちゃ。
「アメリア?何を・・・んっ!!!?」
女も度胸である。私から、キスした。その後は・・・離して貰えなくて、呼吸困難になってしまったのだけど。
「礼のつもりか?だが、悪くない。だが、そんな理由付けなどせずとも、いつでも私の唇を求めてくれて構わないからな?」
「そ、それはちょっと・・・。もう今でも、いっぱいいっぱいです。」
「そうか。だが、ありがとな。」