第13章 憂いの理由
あの後、シェラザード様が仰った通りにペリズリー様は退学になった。更に、貴族の爵位も返上させられ家からも勘当されたと聞いた。
今は、どこで何をしているか分からない。
あの日の放課後、先生に呼びだされ話しを聞かれた。その時にシェラザード様も同伴してお屋敷に訪問するのは後日になった。
昼間の瞳孔が開いたシェラザード様も怖かったけれど、私から事情を聞いた時のシェラザード様も同じくらいに怖かった。何せ、握り締めていた手が怒りで震えていたから。
私と関わるようになって、少し変わったなと感じる。それほど、色々と関わったから仕方ないのだけど。普段は、感情の起伏などないのに。
先生は私には何も言わなかった。隣りで大激怒中のシェラザード様に、苦笑いをしていたけれど。そして、話しが終わった時には、薄暗い時刻になっていた。
「ウチにこのまま来て、泊っていかないか?」
「落ち着いて下さい。シェラザード様らしくないです。」
って、以前にもそんな話をした気がする。
「・・・分かった。ならば、私がアメリアの屋敷に泊ろう。」
何か可笑しい。本当にらしくない。何に苛立っているんだろう。私は察することなんて出来ないから、言ってくれなきゃ分からない。
でも、その後のシェラザード様は黙り込んだままだった。
屋敷に到着すると、珍しく両親が出迎えてくれた。何事かと聞いてみれば、昼間の間にシェラザード様から報告されていたらしい。
そして、両親はシェラザード様のお泊りを承諾した。驚いたのは私だけで、シェラザード様は穏やかに微笑まれお礼を言っていた。何たる変わり身の早さ。
お見舞いの時もそうだったけれど、お父様・・・嫁入り前の私にそんなこといいの?同じ部屋で泊るのではなくても、まだ婚約中なんだけど。
そして、急遽、同席の夕飯メニューは、どうしてかデミグラスソースが掛けられたオムライス。大好きな胡麻ドレッシングが掛けられたサラダにどうしてこれを選んだのか・・・軟骨の唐揚げだった。
ちなみに、お父様の好物である。お父様をジト目で見れば、苦笑いされその後は目を反らされた。
あぁ、シェラザード様は貴公子なのに・・・今、軟骨の唐揚げを食べています。オムライスはペロリ。サラダも同じく。流石、育ち盛り。
「アメリア様、クリームコロッケは如何されますか?」
「クリームコロッケ?」