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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第12章 鋼メンタルの宇宙人


「私に触れないで下さいます?」
「わ、私が御不満なら、ロイド様お願い出来ませんか?」

その一言に、皆が驚愕。一介の伯爵令嬢が、王子を顎で使おうとしたのだから。でも、私はその言葉であの時に言った事をまだ諦めていないのだと分かった。

家で叱責を受けたと聞いている。それでも尚、この行動力。本当に宇宙人だ。

「私は至って健康です。思い違いですし、授業の妨げになっていますから席に戻って下さい。先生、お騒がせしてすみませんでした。どうぞ、授業を進めて下さいませ。」

主人公の存在は無視だ。諦めたのか、すごすごと座席に戻って行った主人公。先生も気づかわしそうな顔をしていたものの、やがて通常の静かな授業に戻った。

授業が終わり、私は改めて先生にお詫びを言った。私に非はないと言ってくれ、咎められることも無かったことにホッと一息。

そしてそのまま、3つ離れたシェラザード様の教室へと向かった。そう言えば、初めてかもしれない。教室を訪ねたのは。

あ、今の横顔も素敵だ。なんて呑気なことを思っていたのだけど、いざ声を掛ける勇気もなく。そして、クラスメイトらしい女生徒数名がシェラザード様に声を掛けている。

鉄壁か?と思うような、その視界を遮るかのような行動に私はしょんぼり。壁役の一人が、私を見て笑った様に見えた。

ワザとかっ!!

内心そう思ったけれど、勇気なんてない私は諦めて教室に戻ろうと踵を返した。

分かってたけど、モテるなぁ。想像以上に。周りを囲むのは、みんな綺麗な令嬢ばかりだった。この前のクラスメイトの様な、大人びた美人。

「アメリアっ!!」
「えっ?あ、シェラザード様。どうして・・・。」

私には気付いていなかったはず。だって、私は小柄だ。座っていたシェラザード様からは、私は見えていない。

「どうして声を掛けて来ない。」
「・・・ごめんなさい。」

何か言おうとしたけれど、それを口にしてしまえば争うことになりそうで、私は謝罪の言葉しか言えなかった。

「いや、あれを見れば声を掛けにくいか。」
「シェ、シェラザード様!!?こ、ここは学園の廊下・・・。」

今の私は、シェラザード様の腕の中だ。

「今は時間が無いからな。これで許せ。後で話しを聞く。」

その優しい声に、私の涙腺は壊れそうになった。





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