第12章 鋼メンタルの宇宙人
末恐ろしい16歳だな。この世界では、こんなに早熟なの?それとも、シェラザード様が特別?
最近は、こんな感じで揶揄われたり欲を含めたことを言われたりと散々である。
「そろそろ、時間だな。ほら、こっち向け。フフ、真っ赤だな。愛らしい。」
唇にキスをしては、立ち上がっては手を差し出した。その手を取れば、いつもの様に引き寄せられる。
その後、主人公はその週は登校して来なかった。
かなり自宅で叱責された様だと聞いていたので、その事も相まって私は安心していたのだけど・・・。
翌週の教室。
主人公が来ていた。そのことはまぁいい。でも、何故か王子と言い争っているようで王子の学友たちも何やら不穏な様子。
教室まで送ってくれたシェラザード様も、少し眉を顰めていたが直ぐに教室へと向かわれた。
その後、授業が始まったのだけど・・・理由は分からないけれど、主人公は何やら血気盛んな様子。そして、私をチラチラと見ている気がする。
既視感・・・。激しく嫌な気分。この後の休み時間が怖い。折角シェラザード様が言ってくれたのに、クラス替えを突っぱねるんじゃなかったと後悔し始めている。
あの後、私が何とか宥めてクラス替えは保留になったのだ。でも・・・言われた通りにすれば良かったと後悔してる。
助けて・・・シェラザード様。
休み時間がこんなに待ち遠しくないと思ったのは、前世合わせても一度もなかった経験だ。
でも・・・
主人公は宇宙人だった。いや、本当に宇宙人ではないのだけど、いきなり立ち上がって私の元へと来たのだ。授業中にも関わらず。
誰もがポカンとして、主人公を見ている。勿論、先生もあの王子でさえも。そして、主人公はこう言ったのだ。
「大丈夫ですか?体調が悪いのでしょう?保健室に付き合いますよ。」
体調なんて、少しも悪くない。ただ、本当にこの宇宙人こと主人公の行動の意味が理解出来ず呆然とするのみ。
「サザライトさん、本当ですか?」
「本当です。私が保健室まで付き添います。」
先生は私に聞いたのに、返答したのは主人公だ。何故、貴女が答えるの。それに、本当に体調は悪くない。今、悪くなりそうだけど。
「無理はしない方がいいですよ。さぁ、行きましょう?」
強引に腕を掴み、連れて行こうとする主人公。でも、私は拒否した。