第10章 主人公登場
「キミがロイドと仲良くするのは好きにすればいいことだ。だが、何もかもキミの物差しで他人のことを決めつけてそれを強要するな。次、私の婚約者を泣かせたら当家から苦情を入れる。」
「ご、ごめんなさい。ただ、私は仲良くしたくて。ロイド様だって、きっと・・・。」
「それ以上、口を開くな。キミは今一度、自分が何を言っているのかきちんと考えた方がいい。」
踵を返し、私の手を引っ張っては学食から出た。空いた部屋に入ると、ギュッと抱き締めてくれた。
「一人にして悪かった。」
「い、いえ、シェラザード様は何も。私の方こそ、泣いてしまって。」
「私を見て安堵したのだろう?嬉しいよ。」
落ち着いてくると、今、ここは学園の建物内だと言うことに気付く。
「あ、あの・・・もう、大丈夫です。」
「まだ、と言いたいところだが・・・フランそこにいるんだろう?」
ドアが開き、皆が入って来た。フラン様の手には、軽食と飲み物。きっと、私たちを気遣ってくれたのだろう。
「軽食なら食べられるかなと思って。」
「シェラには、ステーキ定食。」
アラン様がトレイを持っている。思わず笑ってしまった。
「アメリア、一人にしてごめんね?」
「次からは一人にしないから安心して?」
「私の方こそ、ごめんなさい。迷惑かけてしまって。」
そこで、トレイを置いたアラン様が私の頭を撫でようとして・・・安定にシェラザード様に払われていた。こんな時でも容赦ない。そして、アラン様はその手をさすっている。
「あの後のこと言っておくけど、ダグラス様によって粛清されたから。」
えぇっ!?粛清?
「曲者だけど、あの人の方が王になるべきだなと思うよ。シェラ、アメリアを取られないようにな。」
「ルーズベルト・・・あぁ、分かっている。」
「時間ないから、早く食べて。じゃあ、僕たちは行くから。また、今度一緒に食べようね。」
残された私たちは、その部屋で食事を取った。皆の気持ちが嬉しい。
「クラス・・・変えて貰うか。」
「えっ?そんな・・・。」
「ウチから申し出れば、変更出来る。」
今、出来るって言った。公爵家って、そこまで権力あるの?
「でも、それはフェアじゃない。」
「アメリアならそう言うと思った。でも、私が手元に置きたいから変更させる。」
決定事項?でも、シェラザード様・・・そんな心配そうな目で私を見ないで。
