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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第9章 王立図書館


あれ、私・・・抱き付いてる?不可抗力とはいえ。そして、しっかりと背中に回された腕。

「シェラっ!!」
「私に甘やかされるのは嫌か?」
「そういう訳では・・・い、今は外ですし・・・人がいますから。」

と言っても、私の視界はシェラザード様の胸元だけど。でも、メイドさんたちだって控えているし。

「アメリア、どうか私を見てくれ。それに、直に私に甘やかされるのにも慣れる。」

おずおずと見上げれば、触れるだけの柔らかいものが唇に触れた。更に、こめかみまでも。

「ほら、歩くか。」

切り替えが早い。敵わないなぁなんて思いながらも、広い公園の中を散歩した。

「アメリアのこと、私に教えて欲しい。好きなもの、興味のあるもの何でも。私はアメリアのことを知りたい。」
「私もです。シェラザード様のこと教えて下さい。」
「いいぞ。何が知りたい?」

そう問われて、暫し考える。ここはやはり定番を。

「お誕生日は?後、好きな食べ物とか。」
「誕生日は10月7日。好物は、アメリアの手料理だ。」

まさかである。手料理って・・・絶対に、公爵家の料理人の方が美味しいに決まってるのに。

「その顔は、信用していないな?だが、事実だぞ。特に、あのバラエティーあるソースの味がいい。」

ソースというのは、マヨネーズや照り焼きソースに焼き肉用のタレなど前世で当たり前にあった調味料だ。

私の記憶で何とか作ってみたんだよね。だから、ウチの調味料は門外不出だけど色々と揃っている。

だって、たまには和食を食べたいもの。お味噌汁とか焼き魚とか煮物。元日本人なら当たり前だよね?

「どの味が一番お気に召されましたか?」
「そうだな・・・。」

何か、物凄く真剣に悩んでいる。

「やはり、選びきれない。どれもいい。アメリアの方こそ、好物は何だ?」
「何でもです。嫌いなものはありません。でも、今はリング焼きに嵌っています。」
「リング焼きとは何だ?」

そう言えば、この世界にそもそも無い物だった。ソースそのものを作った訳だし。関西出身では無かったけれど、出店などで食べてから嵌ったんだよね。

この世界での小麦料理って、パスタかパンにしか使われていない。そう言えば、うどんも存在しない。えっと・・・何て答えよう?



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