第6章 リベンジデート
「私のものになれば、何の問題もない。」
「シェラザード様は、もっとご自分を大事になさった方がいいと思います。私の噂、御存知でしょう?」
「あぁ、何の的も得ていないものだがな。」
事実だけど・・・。私になる前の私だけど。
「これでも、存外、アメリアを気に入っている。私は優良物件だと思うが?」
「シェラザード様・・・それは否定しませんが、私では分不相応です。」
「無理矢理推し進めるのは気が引けるから本人に確認をと思ったのだが・・・貴族間の政略的なものだとするなら諦めるか?」
それって、政略結婚?
「家柄も申し分ない。それに、父上には承諾は得てある。」
「はい?今、何と?」
「私の伴侶にアメリアを望むと父上に報告し、了承は得られている。そう言ったのだ。だから、問題はない。」
そ、そんなの公爵家から言われたら、格下の侯爵家が断われる訳ないじゃない!!幾ら、私の父上が娘に甘いとはいえ、公爵家の申し分を拒否することは。
「自覚ないのか?」
「自覚、ですか?」
「入学してからのアメリアは、模範生という声も上がっているのだ。それに、美しい。」
美しいって・・・。
「女王蜂は稀有な存在だからな。悪い虫がつかないように、私の傍においたんだ。」
「・・・後悔はしないのですか?」
「私が、後悔するような男に見えるか?」
見えないよ。断言できるよ。でも・・・本当に?
「それに・・・早い内に婚約しなければ、色々と不味いかもしれない。これでも、私も普通の男だ。惚れた女が傍に居れば、手を出したくて仕方ないのを我慢しているのだからな。」
「それって、婚約者同士になれば、気兼ねなく手を出すと言っている様なものじゃないのですか?」
「・・・・・・。」
あ、黙った。って、シェラザード様が珍しく顔が赤い?
「アメリアの傍は・・・居心地がいいんだ。悪いか?」
何これ?可愛いって思ってしまった。外堀しっかり埋めてるのに、このギャップの照れ具合は何?
それに・・・惚れてるって言った。さっきは、スルーしたけど。そう言った。
そんなにシェラザード様の周りって、作為に満ちた人ばかりなのかな?いや、そうなんだろな。自分でも優良物件って言うくらいだもんね。
あ、こっち向いた。