第1章 銀髪のイケメンを見つけました
自分の手を見ると、水筒より一回り小さな筒状の容器。水筒と同じ作りだが、中身は前世の記憶で作った卵豆腐を潰してスープにしたもの。
「あっ!?私の大好物の!!」
思わず叫んだ私だったが、慌てて口を噤む。が、次の瞬間・・・銀髪イケメンが声を上げて笑った。
あ・・・目の保養。
「そ、そんなに笑わなくても・・・。」
「クックッ・・・すまない。だが、自ら私の口に突っ込んでおいて、大好物・・・。」
楽しそうで良かったですね。まさか、こんなに笑われるとは思ってもみなかったけれど。
「すまない・・・いや、ありがとうが正しいな。最近、あまり食べていなくてな。世話になった。」
「食べていないって・・・ダイエットですか?」
そう言ったけれど、必要ないのは分かっている。そして、また笑っている。意外だ・・・見た目的に、【氷の貴公子】とか呼ばれてそうな見た目なのに・・・。
「残りを貰ってもいいだろうか?」
「えぇ、どうぞ。」
あ~、今日は特別美味しく出来たのになぁ。
「本当に大好物なのだな。」
「えっ?あ、ごめんなさい。」
つい、凝視しちゃってた。
「食べないのか?」
「あ、そうだった。」
隣りに座り、私は自作・・・そう、自作の燻製したチキンと野菜を挟んだピタパンをお弁当箱から出した。燻製したからか、チキンのいい匂いが漂う。
フト、視線に気付き隣りを見ると、さっきの私みたいに凝視している銀髪イケメンがいた。視線が合うと、恥ずかしそうに目を背けた。
なので、私はそんな彼に一つのピタパンを差し出す。こっちは、エビカツと野菜を挟んだものだ。ピタパンなので、そう手も汚れないだろう。
「あ、いや、私は・・・。」
「子供は遠慮しないでいいんですよ?」
彼は一瞬固まった。そして・・・
「確かに、まだ成人してはいないが、君も子供だろう?」
「あっ・・・。」
またしても、笑われている。でも、こんな穏やかな笑顔が出来るんだと少し微笑ましくなった。
「ありがとう、頂くよ。」
彼は躊躇なくピタパンに噛み付き、目を見開いた。
「これは、君の家の料理人が作った物だろうか?」
「えっ?あ、私が作りました。普通の令嬢が、料理などしないことは知ってますよ。でも、どうしても食べたかったので。」
言い訳にならない言い訳をして、最後に釘を刺しておいた。