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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第5章 王子の中の王子


「今日は特にいい気候だな。」

あ、話しがもう変わった。そして、シェラザード様がいきなりベンチで寝転がり、私の膝に頭を乗せた。

「10分だけ休ませてくれ。」

心臓をバクバクさせながら、かろうじて返事をすれば直ぐに彼は目を閉じた。

ぐはぁっ!?麗し過ぎて血を吐きそう!!

でも・・・疲れているんだろうなぁ。そっと目に掛かりそうな銀髪の前髪を横へと流した。

「へっ!?」

咄嗟に掴まれた手は、シェラザード様の手によって包み込まれた。心臓が全力で働いている中、辺りは穏やかな風景。

やがて、私の心臓も通常運転へと移行していった。

何か、有耶無耶になってしまったけれど、この状況・・・。

「まったく・・・無粋じゃないですか?トルン様。」

咄嗟に、身体を起こしたシェラザード様。そして、木の背後から現れたのはトルン様。

「こんなところで愛を語らい合っていたんだね。確かに、いいところだ。邪魔も、僕じゃなければ出来ないだろうしね。」
「それが分かっていて尚ですか?」
「そんなに怒らないでくれないかな。折角、いい報告しようと思って来たのに。」

茶化す王子に、シェラザード様は真顔。

「あ~、はいはい。邪魔して悪かったよ。で、あの件、OK貰えたよ。良かったね?」
「そうですか。感謝します。」

シェラザード様・・・全然、感謝している風には見えないけど。それに、王子に何を願ったの?

「サザライト嬢、週末、楽しみにしておいて。」
「トルン様・・・。」
「はいはい。邪魔者は退散するよ。じゃあ、またね。良かったら、生徒会室に遊びにおいで。」

王子・・・生徒会室は、一般人が気軽に遊びに行ける場所じゃないです。それに、間違ったらあの王子に出くわす羽目にもなりかねないですし。

可能な限り、あの王子に関わりたくないんです。選べるなら、来年はクラスを離して下さいって思ってます。

「あ、シェラザード様。さっきの、トルン様が仰った邪魔は他の人には出来ないってどういう意味ですか?」
「魔法壁。だから、話し声も聞かれることもない。あの方は特別だからな。」

王族ですものね。でも、魔法壁?確かに、この世界に魔法はあるけれど・・・何故?

「アメリアが気にしていただろう?だから、魔法壁を張っている。」
「・・・そうでしたか。」
「私は別に見られても構わないのだがな。」
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