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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第33章 その後のシュリア王国 ~シェラザード side~


王宮は三日三晩炎を上げて、要約消えた時にはあの綺麗な王宮の跡形もない姿となっていた。

この事は、アメリアには言っていない。知らせるつもりもない。憂いを除いた、ただそれだけだ。

ダグラス王国は、元はあの大国の首都だった場所。それも、徐々に領地を減らし独立していく中、残った且つての仇の国。

「終わったね、シェラ。」
「そうだな。」

私の傍には、フランたちが揃っていた。

「バクサー家も、ついでに壊滅しておいた。」
「ルーズベルト、手間をかけたな。」
「シェラ、いえ、私たちの主君 シェラザード様の御心のままに私共は永遠の忠誠を。」

皆が膝を付き、敬意を称する。

「まだ、気が早い。父上、いや、陛下にはまだまだ頑張っていただかなければ。その時が来たら、頼む。」
「「「「畏まりました」」」」

焼けて朽ち果てた且つての王宮を見下ろし、私は目を細めた。自分の足では最早動くことがままならない弟王子を引きずったまま、憤怒の如く私たちを見ていたトルンの姿。

アランの手が空を切れば、首が切れ地面に転がった。驚愕に満ちた目のまま。

「国王は?」
「始末したよ、私がね。」

綺麗に微笑みながらそう言ったシュバイツに、私は頷くだけだった。

「私も傲慢にならない様に、気を引き締めなくてはならないな。お前たちに寝首を掻かれないように。」
「シェラなら大丈夫だよ。アメリアに嫌われたくないだろうしね。」
「そうだな。では、帰るか。」

シュリアの国に戻り、私は陛下に事の次第を報告した。建国した当初は、人相が変わるほど多忙を極めた毎日だったが、今では少しずつ軌道に乗りつつある。

慰霊碑がある場所で、先祖たちに憂いは無くなったことを告げては振り返った。

「アメリア、どうしてここに。」
「お花を増やそうと思って。」

そう言えば、辺りには綺麗な花が咲き乱れていた。ずっと、尽力してくれていたのだろう。

「ありがとう。皆、喜ぶだろう。」

私も一株の花を植えた。祖父母が好きだった、真っ白な花を。

「そろそろ戻ろう、アメリア。」

手を差し出せば、そっと重ねる白い手。しっかりと握り締めては、王宮へと飛んだ。

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