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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第33章 その後のシュリア王国 ~シェラザード side~


あれから早くも半年が過ぎた。

私の傍で、可愛い笑顔を変わらず見せてくれる愛するアメリア。この国で作った学校に在籍しつつも、今日も楽しく忙しく毎日を送っている。

この先も、アメリアがこの国に来たことを後悔しない様に私は尽力すると誓った。

そう言えば、あの国のあの後のことを知りたいだろう。アメリアが手に入らない事を知ったトルン殿下は周りに当たり散らし、ロイドには決して軽くない傷を負わせたそうだ。

昔から癇癪持ちだったあの人は、年齢と共にそれを潜めていたが今になってあの有様だ。自分の思い通りにならないと気分を損なう所は、隠し切れなかったらしい。

今まで高位の貴族令嬢の様に自身を安売りしなかったあの人は、タガが外れた様に手当たり次第に女性を手籠めにした。

人間、落ちるところまで落ちた結果となった。

陛下は、あの後も周辺諸国に捜索の手を広げている。この事を踏まえ、近隣国はあの国は終わったと口々に囃し立てた。

余程腹立たしかったのか、公爵家・侯爵家の屋敷は出火原因不明の火事となり、今は見るも無残な姿になっていると聞いた。建国する時に、アシュリーの名を返上し、国の名でもあるシュリアの名を名乗ることにした。

そして、一度だけ私はトルン殿下の元に姿を現した。数多の女性を侍らせては毎日、夜伽を繰り返すトルン殿下の元に。

私に気付いたトルン殿下は、以前の面影など何処にも見当たらなくなっていた。美しかった金髪は曇った色となり、スリムだった体形も今は幅を利かせる程に変貌。

トルン殿下の上で、喘ぎながら腰を振る令嬢を突き飛ばし、私に近付いて来た。

「シェラっ、今まで何処にいた!!アメリアは、私のアメリアは何処にいる!!?」

妙に血走った目は、暗く濁っていて私は侮蔑の目を向けた。

「落ちるところまで落ちましたね、トルン殿下。」
「煩いっ!!アメリアは何処だ。私に差し出せ。」
「殿下・・・以前、私は言いましたよね?私のものを奪うなと。貴方は、約束を違えた。だから、滅ぼして差し上げましょう。」

手から飛んだ炎は、あちこちに飛び火した。逃げ惑う女性たち。殿下の目にも、怯えの色が見える。

「もう二度と、お会いすることはないでしょう。私は私の愛する者と幸せになります。誰にも邪魔などさせずに。では、ご機嫌よう。」

その後、城のあちこちから火の手が上がった。
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