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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第32章 且つての楽園


「あ、そうだ。アメリアの望みを叶えた部屋も用意してあるからな?今まで通りに好きにやれ。」
「えっ、あ、いいのですか?」
「ああ、構わない。私も、あの七輪も鍋も好きだからな。」

そこで、ハタと気付く。

「シェラザード様は、王太子になるのですか?」
「ん?あぁ、そうだな。子は私一人しかいない。だが、気負わなくていい。子が出来ずとも、ルーズベルトたち分家もいる。まぁ、努力はするが。それと、アメリアは未来の王妃。」
「王妃っ!?え、私がですか?」
「私はアメリアしか要らない。逃がすつもりはないから、覚悟をこの二年で決めてくれ。成人すれば、婚礼が待っている。」

覆せない決定事項だと言っては、笑うシェラザード様。

「あの人も欲には勝てなかったか。私のものを取り上げない内は・・・・・・のにな。」
「えっ?」
「何でもない。色々と悪かったな。何もかもが突然で。驚かせたと思うが、どうしてもアメリアを連れて行かない選択肢は選べなかった。愛しているから。」

抱き締めてくれるシェラザード様の背に腕を回す。

「シェラザード様がいる場所なら、何処でも私は構いません。だから、離さないでくださいね?」
「勿論だ。一生離さない。さて、街は明日として、城の中を案内しよう。」

侯爵家のお父様は、文官の偉い地位を与えてくれたらしい。王宮近郊に侯爵家の屋敷を用意してくれていると教えてくれた。私もその屋敷を見てみたい。

王宮はどこを見ても品のある、素敵な部屋ばかりだった。そして、広い。確実に迷子になる。そう確信している。

「大丈夫か?」
「これっぽっちも自信がありません。」
「その内、覚えればいい。では、最後に私たちの部屋だ。」

私たちって言った。ここでも、そうなのか。もう平和になったんだよね?だったら、新しい侯爵家のお屋敷に行くのは・・・。

「アメリアはこのまま、私の傍にいろ。侯爵家の屋敷には、私が連れて行ってやる。」
「決定事項でしょうか?」
「あぁ、そうだ。」

そうもきっぱり言われたら、何も言えないです。

「ここが私たちの部屋だ。アシュリー家の作りと同じだから、そう間違わないだろう。それと、アメリアの執務室も用意してある。」

シェラザード様の執務室の隣りに、私の部屋を用意してくれていた。あ・・・侯爵家の私の部屋に似ている?家具はとてつもなく、高価に見えるけれど。


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