第30章 最後の攻略キャラ
私は別の意味でゾクゾクする。何、この久しぶりの宇宙人的存在。どう転べば、こうも自分に都合のいい解釈が出来るのだろう。攻略キャラは基本宇宙人が多いの?
「仕方ないな~。女の子からの誘いを断ったら、恥をかかせるだろうし、いいよ相手してあげる。」
「随分、身勝手な解釈をされている様ですけど。私には婚約者がいますのでお相手するのはお断りします。」
「婚約者?あぁ、分かった。婚約者にはバレない様にってことだよな。それくらいは配慮するよ。じゃあ、行こうか。」
全然、人の話しを聞いてくれない。こうなったら、遣れることは一つだ。相手の背後に誰かがいる様な振る舞いをすれば、振り返ったケルト。
その拍子に、令嬢らしからぬ脚力で逃げ出した。逃げた事に気付いたらしく何やら声が聞こえ一度振り返ったら、凄い必死な顔で追い掛けて来ていて全速力で走った。
廊下を曲がった時、誰かにぶつかって私は吹っ飛ばされ襲ってくれるであろう痛みの為に目を閉じていたけれど、痛みは感じない。
目をそっと開けば、見覚えのある胸元。バっと顔を上げれば、アメジストの瞳が私を見ていた。思わず、涙目になってしまう私。
「アメリア?」
私はシェラザード様だと分かって、ギュッと抱き着いた。が、背後から声が掛けられる。
「女の子の脚力じゃないな。って、もう早速、別の男に言い寄ってんの?」
「お前か、留学から戻ってきたチェスタ=ケルト。」
「ん?お前は、アシュリー家の。あ、その女の子返してくれ。今からいい事しにいくんだからさ。」
シェラザード様が私の手を掴み、相手に指輪を見せた。
「この紋章・・・えっ、アシュリー家の。」
「相変わらず下半身が緩いようだが、生憎、彼女は私の婚約者だ。私の婚約者の色香は、私が与えたもの。お前では役不足だ。」
でも、神様の悪戯なのか、ケルトは私たちのクラスに編入してきた。思いっきり仏頂面のシェラザード様に思わず笑いそうになった。
あの指輪にはGPS機能みたいなものがついていて、それを頼りに私を探してくれていたらしい。
ケルトは私たちに気付いて、少し苦い顔をしたけれど他の学生(令嬢)に人懐っこく挨拶をしては直ぐに打ち解けている様子だった。
新年明けての教室内ですが、相変わらず私たちの距離は近くて、でもクラスメイトたちは慣れたもので動じる人は皆無。