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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第29章 罠と全力魔道具


翌朝、公爵様より昨日の経緯を領地で聞いていた。流石、魔法。もう領地に到着だ。

可笑しくなる令嬢は、たまにあるらしい。だからか、そう大事に騒ぎ立てることもなかったのだろう。確かに、見目だけに言うなら分からなくはない。

それでも、私は金髪碧眼より銀髪紫眼を選ぶ。でも、話しはそれだけで終わらなかった。突然現れたのは、アシュリー家の使用人だった。公爵様の耳に何やらヒソヒソ話し。

「シェラザード。出処は間違いない様だ。」
「・・・そうですか。父上、御前を失礼します。アメリア、話しをしよう。」

向かった先は、シェラザード様の自室だった。ソファーを勧めてくれ、私の手を握っては優しく撫でる。そして、こう切り出した。

「昨日の騎士たちの話しだ。指示したのは、ロイド。そして、誘導したのはコーシュ。正確に言えば、コーシュの愛人の一人だが。」
「ですが、私は行かなかったですし・・・。」
「あぁ、そこは想定の範囲内。アメリアに似せた女性を用意し、ロイドは身代わりに手を付けた。耐性があっても、万全ではないからな。」

指定していた部屋に私の髪色に似たウイッグを被った具合の悪そうな女性を私だと称して、コーシュの愛人が誘導する手筈となっていた。

私に声を掛けてきた騎士の二人は、たまたま王子と同僚の騎士が話しをしているのを耳にしただけで直接指示を受けた訳では無かった。だからこそ、アッサリと引き下がった。

指示を受けた騎士は、私が部屋に入った後、部屋の前で護衛をする様にと言われただけだった。

「その似た女性と言うのは・・・。」
「コーシュの妹、アイルだ。背格好は似ているし、ウイッグを付けて俯いて具合が悪そうにしていればそうそう疑われないだろう。何せ、ロイドから直接に指示を受けている訳だからな。」
「でも、どうしてその様なことを?」

シェラザード様の手が、私の髪に触れ口付けを落とした。

「ロイドは利用されただけだ。色んな意味でな。」

少しだけ悲しそうな顔をしたシェラザード様。

「あの・・・私が王子のお相手をしたと言うことになっていたりは?」
「その点はぬかりない。ただ、隣国の商人の娘と情を交わしたと言う事実は、一部の人間には知られたがな。」

王子のお手付きになったことで、バクサー家は騒ぎ立てたが娘を王族にという策略は破綻に終わった。





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