第28章 年の瀬と新年
私の私物は、迅速にメアリーと公爵家のメイドさんたちが処理してくれました。まるで、分身の術でも使えるのではと思うほどの処理能力です。
そして、シェラザード様の部屋は次期公爵家の後継者の部屋として、色々と魔道具が完備されていて安全らしいです。でも、安全が生活する為の部屋の第一理由ではないはず。
まぁ、もうどうにもならないので気にしない事にします。それに、何度かこのお部屋にはお泊りしていましたしね。
そう、忘れてしまいそうでしたが、今日は年の瀬です。
公爵家で皆でディナーを食べて解散。えっ?そんなアッサリ?あ、年が明けた方が色々あると?分かりました。
そうそう、今日は年の瀬なので、年越しそばを作りました。私専属の料理人を付けて貰えるようになりました。
年齢は30歳。嫁はこの公爵家のメイド。7歳の娘がいるそうです。使用人の部屋で家族で暮らしているそうです。
最初は、若い料理人をと考えていた様ですが、断固シェラザード様もが拒否したと。なら、既婚者からと言うことで30歳のメルタが専属に。
名を聞いた時に、「メルたん」と言いそうになってしまいました。これも、前世の記憶から来るものでしょうか。
公爵家で年越しそば。ちょいシュール。でも、美味しかったです。さて、今年の汚れは今年の内にと。入浴です。
あの泳げそうな広い浴室。何も考えずに湯船に浸かってから、前回のことを思い出しました。そう言えば・・・。
あ~、物音が聞こえます。衣服を脱ぐ音が。足音がこっちに、ドアが開きました。シェラザード様の出現です。あの、羞恥心、何処かに落としてませんか?
今回は、ガン見はしませんでした。私が恥ずかしいので。身体を洗う音がして、足音が聞こえて、直ぐ隣りに水音。全く、前回と同じ状況です。
「なぁ、アメリア。あの年越しそばと言うのは、年の瀬にしか食べてはダメなのか?」
だから、そんな普通に挨拶するかのような・・・ん?年越しそば?いやいや、それはどうなんだろう?年越しそばって商人名?
「いえ、好きな時に食べていいです。ただ、年の瀬に食べるって言うだけです。」
「そうか。あの年越しそば、母上が大層気に入ったらしい。確かに、ホッとさせられる味だった。」
気に入って頂けて何よりです。元王女のお母上に。