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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第28章 年の瀬と新年


「アメリアのお父上には事情を話して、承諾を得てある。」
「あの・・・期限とかはありますか?」
「たぶん、戻ることはない。」

まさか、このまま公爵家の子に?でも、私たちは婚約者同士で・・・え、いいの?まだ、子供扱いだし。

「シェラザード様は、それでいいのですか?」
「私はアメリアを娶れないのなら、生涯独身を貫くと言ってある。」
「そ、そんな、まだ若いのにそんなことを決めてしまうのは。それに・・・私、こんなことやって。」

七輪の上にかけられている鍋を見る。こんなこと、公爵家でやったら首が飛びそう。勿論、物理的に。

「問題ない。好きにやっていい。その為の場所は確保してある。厨房も含めてな。アメリア専用だ。」
「そこまでして下さっているのですか。」

私が淡泊なのは、きっと前世の記憶があるからだろう。侯爵家の両親もいい人だ。でも、やっぱりどこか違和感は拭えない。

でも、一人だけ・・・。私は、メアリーを見た。

「メアリーのことなら、心配ない。引き続きアメリア付きとして続けて貰う。メアリーにも、承諾は得てある。」
「えっ?それって、外堀は完全に埋められているって事なのでは?」
「「・・・・・・。」」

シェラザード様もメアリーも何も言わない。

「変な言い方になるが、侯爵家に遊びに来るのは可能だ。ただ、人は付けるがな。」
「あの、お聞きしたいことがあるのですが・・・私は、私専用の部屋を。」
「私の部屋で生活するに決まっているだろう?」

せめて、最後まで言わせてください。せめてもの、悪あがきだとは気付いてはいましたが。

もう、何か、身動き取れない。決定事項。

「今日は最後の侯爵家での時間だ。時間を空けて、迎えに来た方がいいか?」
「えっ?でも、私・・・何も準備なんてしていませんし。」
「アメリア様、その事なら問題ありません。準備なら滞りなく済ませてあります。」

有能・・・本人の意思の確認が無い内に、この行動力。ねぇ、行きませんなんて言えないよね。


トボトボと侯爵家の両親に会いに行けば、アッサリと見送られた。いつでも会えるからと言って。両親がこんなにアッサリって、ひょっとしてあの寒い人、凄く危ない人なのかもしれない。

家族にハグをしては、私は返事もしないまま公爵家に来ることになりました。
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