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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第28章 年の瀬と新年


それは、まるで懺悔するかのような声だった。

「どうか、この先も息子と共にあってくれ。」
「はい!!」

って、貴族がそんな元気いっぱいに返事するのははしたなかった!!でも、公爵様は何故だかとても嬉しそうだった。

すみませんと謝罪すれば、笑って気にしなくていいと言ってくれてホッと胸を撫でおろした。

「もう少し、貰ってもいいだろうか?この、餅巾着と言うのは美味いな。」
「食べ過ぎではありませんか、父上。」
「やっと、来たのか。」

少し息を弾ませたシェラザード様が現れた。数日ぶりの姿に、嬉しくて笑顔になってしまう。

「今日は年の瀬だと言うのに、まさかあんな置手紙みたいなメモだけ残してサザライト家に来るとは思ってもみませんでした。」
「私がこうでもしなければ、お前は我慢するだろうからな。会いたくない訳ではなかろ?」

気まず気な顔をするシェラザード様に、公爵様は笑った。

「私は王城だろうが、会いに行ったぞ?」
「えっ?それは・・・母上にということでしょうか?」
「他に誰がいるというのだ。今も美しいが、あの頃の妻は女神の如き美しさだったからな。」

あ、微妙な顔してる。親の恋愛事情なんて知りたくない?私は聞いててドキドキするけど。

「あぁ、そうだった。あの小生意気な商人の倅だが、まだ諦めていない様だ。くれぐれも身辺に気を付けてくれ。シェラザードが屋敷で暴れることになれば、簡単に屋敷が吹っ飛びそうだからな。では、御馳走様。次は、ウチにおいで。」

あ、消えた。あ、現れた。

「シェラザード、遅くとも屋敷には戻って来い。」

あ、また消えた。

「全く、最後に爆弾を・・・。」

その爆弾と言うのはあの商人のこと?

「バクサー家が、伯爵の地位を得た。」
「随分、高い位ですね。」
「根回しの賜物だろうな。」

男爵や子爵を飛び越えての伯爵だなんて。随分、ヤリ手みたい。で、諦めてないってどういう?

「アメリアの気持ちを聞かずに勝手なことをして悪いとは思っている。だが、聞いて欲しい。アメリア、我が公爵家で、暮らしてくれ。」
「はい?暮らすと言うのは?」
「言葉通りの意味だ。私の傍に居て欲しい。その事で、アメリアのお父上とは以前から話し合いがなされていたんだ。」

はい?話し合い?




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