第27章 冬の聖夜祭
「本当ならこんな事は自意識過剰になるから言わないんだけど・・・私の今の顔を見て、頬を染めないのはアメリアが初めてだよ。」
「えっ?あ、ありがとうございます?」
「フフ、ここで謝罪の言葉を言わない事が、アメリアらしいのかな?ねぇ、アメリア。シェラを愛してくれてありがとう。」
それはとても慈愛に満ちた表情だった。ルーズベルト様は、こんな風にシェラザード様の事を心配していたんだ。
「シェラはアメリアに夢中だ。水面下で策を練るくらいにね。忘れないで?シェラの手を取っていいのは、アメリアだけだ。決して、誰にも譲らないでくれ。」
「はい。首に鎖を付けてでも、しっかり繋ぎます。」
「シェラに鎖か。それは面白い。でも、その鎖を付けられるのも、アメリアだけだろうな。今日はこうして話せて良かった。また、店の方にシェラと遊びにおいで。」
確かに、こんな風に話せたのは初めてだ。元悪役令嬢の私に、最初から偏見などなく優しくしてくれた。
「次は、私だ。」
「えっ?あ、シュバイツ様。」
「初めてだね、こうして踊るのも話すのも。」
シュバイツ様とは、一番関わってなかった気がする。
「私も待っているのに、全然、店には来てくれないよね。そういう奥ゆかしいところも、シェラの心を掴んでいる要因なのかな?」
「魔道具って、お高いイメージがありますから。」
「そうだね。でも、その指輪の魔法付与したのはウチだよ。シェラの過保護ぶりには驚かされたけれど、きっとこの先の未来を見据えて作ったんだろうな。」
やっぱり、かなり高額っ!?
「そんな心配そうな顔しなくても大丈夫だよ。それくらいで、アシュリー家がどうなる訳じゃないから。」
「でも、もし過保護過ぎると思われたら、付与を減らして貰っても・・・。」
「それは無理かなぁ?もっと、過保護になるよ。それはおススメ出来ないなぁ。それに、アメリアには必要なものだと思うから。」
私に必要?何か攻撃されたりするの?
「決して、軽はずみに一人で行動しない様にね?窮屈だと思うかもしれないけど、それくらいじゃないとシェラは安心しないだろから。」
「心配症ですものね、シェラザード様って。」
「普段、あんな真顔なのにね。あんな笑うシェラを見たのは久しぶりだったから・・・だから、私たちはアメリアを歓迎したんだ。ルーズベルトにも言われなかった?シェラに守られててって。」
