第27章 冬の聖夜祭
試験も無事に終え、今日は今年最後のイベント。聖夜祭だ。前世のクリスマスみたいなもの。
学園の大広間で、ダンスを踊ったり交流を図ったり美味しいものを食べたりするイベントだ。今日の私の出で立ちは、銀色のドレス。キラキラしていて、とっても綺麗。
シェラザード様が侯爵家に迎えに来てくれて、私を見て息を詰まらせていた。
「綺麗だ・・・とても綺麗だ、アメリア。」
「ありがとうございます。シェラザード様も、とても素敵です。」
貴方の方が、私の何倍も綺麗ですけど。
「では、美しいアメリアを見せびらかしに行こうか。」
あ~、今日のシェラザード様のお姿、写真に撮って飾りたい。今日はいっぱい見て、脳に刻み込まなきゃ。
うん、知ってた。会場に到着し、開催されたダンス。一曲目は婚約者同士で踊る。その後の、シェラザード様に群がるハイエナたちが凄かった。
令嬢たちの間で、何か同盟でも結ばれているのではないのかと思う程の、鉄壁の要塞が瞬く間に出来上がった。そう・・・一瞬で、私はその要塞から爪弾きされた。
「派手にやられたね、アメリア。」
「ルーズベルト様。ごきげんよう。」
「今日の出で立ちは、本当に美しいな。どうだい?一曲たまには私とも踊ってくれないか?シェラなら、心配ないよ。」
ルーズベルト様なら親類だし、大丈夫かな?戸惑っていると、私の手をサッとひいては輪の中に入った。
こんな時にルーズベルト様に会うのは珍しい。踊りながら、話した会話は先日の商会の人のことだった。
「ミスツ家は、契約を解約したよ。それはそれは、シェラのお母上を大層怒らせてしまったからね。」
「私のせいですか?」
「違うよ。どちらかと言えば自業自得だ。元々、近い内に切ろうと思っていたんだ。だって、アイツ・・・傲慢でしょ?望んだ女性は全て手に入ると思ってる。」
つい、微妙な顔をすると小さく笑うルーズベルト様。
「アメリアがシェラにしか心を寄せない事は、皆分かってるよ。羨ましくなるくらい、シェラに一途だよね。」
「そ、それは否定出来ないです・・・。」
「シェラはまだ16歳だ。でもこの先、一族の長になる。代わりはいない。重圧もかなりのものだろう。だから、アメリアはそのままでシェラを癒しながら、シェラに守られればいいよ。分かった?」
私が頷くと、綺麗に目を細めた。