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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第25章 誕生日パーティー


「あぁ、月の女神が舞い降りて来たのかと思ったよ。」

はい?月の女神?辺りをキョロキョロしたけれど、他に人の姿は見えない。

「貴女だよ。月の女神。今日は隣国から来たのだが、来て本当に良かった。貴方の様な美しい女性に出会える幸運を得られたのだから。」

寒っ!!あ、うん、聞かなかったことにしよう。そそくさと中に戻れば、丁度、シェラザード様が戻って来た。

「待たせたか?」
「いえ、あの・・・たぶん、声を掛けられた気がします。」
「声?誰に?」

あ、何か怒ってる?

「あの、どんなご用だったのですか?」
「あぁ、招待客の一組が遅れて来ると聞いた。隣国の伝手のある大店の御曹司だ。」

激しく嫌な予感がします。

「シェラザード様・・・たぶん、その方の様な気がします。隣国がどうとか仰っていましたから。」
「はぁっ、相変わらずだな。分かった。あいつは本妻はいないが愛人は星の数ほどいる。悪い奴ではないのだが、決していい奴ではない。十分に用心しろ。」

はい、十分に気を付けます。暗闇だったから、顔はハッキリ見えなかったけれど、人に慣れた物言いだったな。

「で、男だけだったのか?」
「えっ?そうみたいでした。暗くてハッキリは見えませんでしたけど。」
「そうか。そいつには妹がいて、私たちと同じ年だ。一緒に来ているはずなんだが・・・。」

その疑問をシェラザード様が口にした時、甲高く賑やかな声が聞こえた。振り返った瞬間、真っ赤な長い髪を風に揺らし、目の前のシェラザード様に抱き付こうとして避けられていた。

勢いよく、数歩進んで足を止めては再び、こっちに向きを変えた。ホント、何でシェラザード様に関わる女の子は、どうしてこうも美人ばかりなんだ?

「もうっ、相変わらず冷たいじゃないですか。久しぶりの再会だと言うのに。あ、そうそう。お誕生日おめでとうございます。いい贈り物持って来ました。」

チラッとシェラザード様の顔を見て、私は一歩後退ろうとすると腰に腕を回され引き寄せられた。そこで改めて、私の存在を認識したらしい。

「シェラザード様、この人誰ですか?」
「私の婚約者だ。招待状にも書いてあったはずだが。」
「えっ?冗談かと思ってました。だって、前の・・・あ、ごめんなさい。これは言っちゃダメでしたね。」

その情報、私が気にするようにワザと言ったよね?

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