第24章 消えた贈り物
誕生日当日。お迎えに来てくれた時、何故かシェラザード様の手元にあの贈り物があった。ルーズベルト様が、当日本人に届くように手配してくれていたみたい。
私は今朝から、自分用のイヤーカーフを付けている。その片方をシェラザード様に外され、代わりに何かを嵌められた。
「アメリア、ありがとう。お互いの色を半分ずつで使おう。」
「はい。あ、ブローチ・・・。」
「早速使っている。これはあの蕎麦の花だな。小ぶりな花だから男の私でも使いやすい。」
でも、使われている宝石がとんでもなく眩しく感じるのですが?お父様、何かごめんなさい。支払い、大丈夫でしょうか?凄い金額の請求書が届きそうな予感がします。
そして、やって来ました。学園です。シェラザード様のお誕生日のお祝いの贈り物をと令嬢たちが今か今かと待ちわびていた様ですが、その全てを断わっていらっしゃいました。
こんなに宝石がキラキラしているのに、シェラザード様の方がもっとキラキラしている様に見えます。宝石にも負けないシェラザード様、素敵です。
令嬢たちの鉄壁を破壊しながら教室へと進むと、いましたよ!!リンドン侯爵令嬢が。友人たちと共に。その手元には、見覚えのあるアレが入っているであろう小箱が。
普通なら、箱を渡して終わり・・・だと思うんだけど、リンドン侯爵令嬢は箱の蓋を開けてはシェラザード様に中を見せる始末。
それも、私の目の前で。友人たちはニヤニヤして私の反応を見ている様だったけど、シェラザード様の言葉に驚いた顔をした。
「これは、何だ。」
「ブローチです。」
「それくらい見れば分かる。その花、何故、貴様が知っているのかと聞いている。」
意味が分からないのか、戸惑いうの表情を浮かべている。
「あの、仰っている意味が分かり兼ねるのですが。」
「ならば、分かりやすく言ってやろう。その花は、我がアシュリー家領地の我が一族しか立ち入れない場所に咲く花。何故、貴様がその花を知っているのかと聞いている。」
「えっ?」
私も、えっ?である。そうだったの?フラン様やアラン様も見た事あるって言っていたし、誰でも立ち入ることが出来るのだと思ってたんだけど。
令嬢の顔は真っ青を通り越して真っ白になっている。
「勝手に、忍び込んだのか?」
「違いますっ!!その様なこと・・・。」