第24章 消えた贈り物
言い訳を考えている様だけど、パニックになっていて上手く考えが浮かばない様だ。
「アメリア、この花のデザイン、アメリアがオーダーした物に似ているな。ほら、紛失して行方が分からなくなったあのデザインのものだ。」
「そ、そうですね。似ていますね。」
それがオーダーしたものですとは、とても言えない。
「一体、何処に紛失されたんだろうな。しっかり、ルーズベルトに調べさせなければならないな。」
「あれ~?何してるの?あ、このブローチ、アメリアがデザインしてオーダーしたものに似てるね。」
人のいい笑顔で、ブローチを覗き込んでいるフラン様。知ってて言ってる?
周りはヒソヒソと、リンドン侯爵令嬢を噂している。そして、丁度そこへ現れたのは、息を切らした先生。どうやら、リンドン家から至急、急用の為に娘に帰宅する様にと連絡があったらしく呼びに来たようだ。
令嬢は死にそうな顔をして足早に帰宅して行った。そして、人気のなくなった廊下。
「あの花の池は、立ち入り禁止だったのですか?」
「ん?今はな。」
今は?はて?
「急用って、アレが届いたってことだよね?ルーズベルト、一体、幾ら請求したんだろう?」
呼び出しを受けるような請求書の金額って・・・。
「あぁ、きっと、その差額でシェラのブローチの差額分は賄えると思うよ。あのルーズベルトが、ただでは転ばないだろうからね。」
「シェラの付けているブローチ、キラキラしてる。この宝石って・・・。」
「アラン、それ以上はダメ。じゃあ、またね。お二人さん。」
手をヒラヒラさせて、アラン様の背を押しては教室へと入っていた。
えっ、今言いかけたのって何?凄く気になるんだけど。
「アメリア、行くぞ。」
「はい。」
翌日から、あの令嬢の姿を見ることは無かった。当家に届いた請求書は、良識的な範囲の価格で私はホッとしました。
ただ、その三倍の価格をあのリンドン侯爵家に支払わせていた事を、私は知ることは無かった。