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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第24章 消えた贈り物


理由はフラン様が説明してくれた。

初めて来た時に、リンドン侯爵令嬢と会ったことを二人にだけ話した。でも、それはたまたま二人とクラスメイトだったからであって、深い意味なんて無かった。

令嬢は店内で会話をし、その様子をスタッフに見せては知り合いだと認識させた。そして今日。急遽、引き取りに来られなくなったと言っては、代理であの二つを持ち帰ったらしい。残りは後日、本人が引き取りに来ると言って。

「聞いてもとぼけると思う。だったら、支払いして貰えばいい。どうせ、シェラに贈り物として渡すだろうし。本当にウチの者がすまなかった。」
「リンドン侯爵家って、以前、少しの間だけシェラとの縁談の話しが出ていた時があったんだ。あ、でも、話しは話しだけで終わったんだけど。侯爵家の方が、その話しに熱心だったらしいよ。」

私はポケットから、自分でデッサンした絵を皆に見て貰った。私が一から書いたデッサン画だ。

「この花って、シェラの領地で咲くあの花だよね?僕も見せて貰ったことがあるよ。綺麗だよね。そっか・・・もう少し、気を付けておけば良かった。」
「なぁ、アメリア。違うデッサンを書けないか?直ぐにオーダーすれば、何とか当日に間に合わせるようにする。これは、完全にウチの落ち度だ。」

そんなこと言われても代替案なんて。

「でも、シェラはここまでアメリアに思われて幸せ者だな。俺もあの花を見たけど、本当に綺麗だったから。」

アラン様がしみじみとそう語る。

「あっ・・・少し待って下さい。」

私は蕎麦の花のことを思い出した。小さな白い花が咲き乱れる風景を前世のテレビで見た事を思い出した。そして、花の色は白だけじゃない。桃色と赤い色もあった。

何となくこんな感じだったような・・・。紙の裏にデッサンする。花の季節ではなかったので、私がお邪魔した時には見られなかったけれど。

「これって、アシュリー家の新規事業になったあの植物だよね?僕、見た事あるよ。」
「俺も。ねぇ、この花の色、アメリアの瞳の色にするのはどう?きっと映えるんじゃないかな。」

あれよあれよという間に、そのデザイン画でブローチが作られることになった。

費用は負担してくれると言ってくれたけれど、そうすれば私からの贈り物にはならないと辞退した。その代わり、何よりも早く仕上げてくれる約束をしてくれた。

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