第24章 消えた贈り物
思ったものを注文出来たことで、ホッと一安心していると声を掛けられました。振り返ると、そこにいたのは昨日の綺麗な令嬢とその友人らしき令嬢たち。
「あら、貴女、昨日の。」
「昨日はありがとうございました。」
「気になさらないで。」
ペカーっと、綺麗な微笑みを浮かべる令嬢に眩しくて目が潰れそうです。
「私も、こちらにはよく利用させて貰っているの。貴女も贈り物かしら?」
「はい。」
「そうなの。あ、ごめんなさい。友人を待たせてしまっているから、ここで失礼するわね。ごきげんよう。」
貴族の鏡のような令嬢だった。さて、注文も出来た事だし少し近所を散策する・・・こともなく帰宅。引きこもりは所詮引きこもりだ。
が、屋敷に到着すれば、シェラザード様が訪ねて来られていた。え?約束してなかったよね?
「す、すみません。今日お約束していましたか?」
「いや、今日はお父上に用があってね。あぁ、用はもう終わったよ。せっかく来たんだから、どうしてもアメリアに一目でも会いたくて待っていた。」
引きこもりで良かった。もし、散策なんてしていたらこんな風に会えていなかった。
「いい買い物出来た様だな?」
「えっ?あ、はい。」
「それは良かった。」
これはアレですね。何処に行って何をしたか知っているって事ですね?まぁ、私も口止めしなかったし。
そう長い時間ではなかったけれど、深くは突っ込まれなかったので気にしない。
翌日。二人にいい買い物が出来た事を報告。それと、あの令嬢と会った事を話しておいた。この時の二人はいつもと同じな態度だったので、何も気に掛かることもなかった。
一週間後。
オーダーしたものを引き取りに行くと、焦った様子で棚を探し回っているスタッフ。奥に引っ込んだかと思えば、先に代理の人が引き取って行ったと聞かされた。
ただ、引き取って行ったのは、シェラザード様用のイヤーカーフとブローチだった。全くもって、どうしてこうなったのか私には分からない。
「その二つの費用、リンドン伯爵家に請求しておいてくれ。」
突然現れたのはルーズベルト様と双子だった。意味が分からず、泣きそうになりながら理由を尋ねる。
「ここはミスツ家が経営している店の一つだ。ウチの従業員が、すまないことをした。この詫びは必ず。」
「あの・・・これは、どうしてこんな?」
