第24章 消えた贈り物
シェラザード様は、今は不在。隣りのクラスの双子の所在を確認。あ、二人で楽しそうに談笑中。仲が良くて微笑ましい。さて、私に廊下から双子を呼び出す勇気もないし、教室に入って声を掛ける勇気もない。
と言うことで、念を送ってみた。両手を握り締め、ただ只管二人を見る。が、ここでもアレだ。鉄壁の如く、二人に声を掛けているクラスメイトらしき令嬢たち。
あ~、無理か。
「誰か呼び出したいの?」
突然の声の主は、それはそれは綺麗な令嬢でした。
「あ、あの・・・フラン様とアラン様を。」
「あぁ、そうなのね。少し待ってて。」
綺麗な令嬢は教室へと入っては、二人に声を掛けてこっちに視線を向ける。二人が私に気付いてくれたので、ペコリと頭を下げた。
「珍しいね、アメリアが訪ねて来るなんて。どうかした?」
「あの・・・少しお知恵を拝借したくて。」
「シェラの誕生日プレゼント?」
頷くと、二人揃って考えている。
「アラン、あの店ならいいと思わない?」
「そうだな。うん、俺もいいと思う。」
二人で会話がされているけれど、私には全然意味が分からない。あの店ってどこ?何?
「王都にある宝飾の店なんだけど、目新しいものがたくさんあるからいいかもしれないよ?あ、案内しようか?」
「いえ、場所を教えて頂けるだけで大丈夫です。」
「一人で行くのは危険だと思うけど。」
侍女のメアリーに付き添って貰うと言って、地図を書いて貰った。丁寧にお礼を言ってから、教室へと戻った。
早速、明日にでも行ってみよう。
はい、やって来ました。引きこもり入っていた私が、メアリーと共に訪れたお店です。想像以上に大きい建物に驚きつつも、勇気をだしてお店に入りました。
私も女性の端くれ、つい夢中になってショーケースに並ぶ商品を見て回りました。シェラザード様を思い浮かべつつ見ていると、彫刻の模様が美しいイヤーカーフを見つけました。好みの宝石を埋め込む事が出来るそうです。
想像しては、つい顔が緩んでしまう私。メアリーも賛同してくれたのでそれを選ぶ。ついでに、似たデザインで私自身のものもオーダー。宝石はそれぞれの瞳の色にしました。
そして、もう一つ。シェラザード様の頭文字【S】を斜めに引き延ばし、その上に重なるように蓮の花をデザインしたものでブローチを作って貰うことにしました。