第23章 二度目の人生でも初の学園祭
流石に、ちょっぴり可哀想になる。言葉通りにボロボロになっていた。
「シェラザード様、あのままでいいのですか?」
「アメリアが慈悲など向けなくていい。いずれ誰かが回収するだろう。」
容赦なかったんだね。ま、私も気にしないでおこう。
「では、戻りますか。」
「そうだな。」
こんなことになってもめげなかったキャラは、ある意味強者だ。シェラザード様に、今度は学園祭の売り上げを掛けて勝負を挑んで来た。
王子は止めたらしいけれど、もう後には引けなかったらしく見守ることにしたそうだ。
ただ、正々堂々の勝負なら良かったのだけど・・・裏で買わない様にという働きかけをしたらしい。だから心配したのだけど・・・。
学園祭当日。エフェクトが掛けられているのかと思う程キラキラした葡萄飴が届けられた。一粒食べさせて貰うと、口の中が甘味とジューシーさで瞬く間にいっぱいになった。
やばい、これは嵌る。
「話しは聞いていたけど、これがピタパン?確かに、美味しそうだな。」
ルーズベルト様が、ピタパンに釘付けになっている。
「ねぇ、シェラ~、僕も食べたい~。」
「一つずつだぞ。」
「やったっ!!アラン、何にする?あ、半分こしよう。」
仲いいなぁ、微笑ましい。そして、他の二人も、しっかり選んで食べている。
「これは・・・シェラが嵌ったのが分かるな。公爵家で作ったんだったよな?ウチにも幾つか卸してくれ。」
「うん、私にも頼むよ。これは嵌る。」
ルーズベルト様とシュバイツ様揃って売り子の方が、既に浮かれてる。買わない運動をされていたから、出だしは悪かった。でも、学園以外の来客の口コミで瞬く間に売り切れた。
可笑しいなぁ・・・あんなに山盛りに在庫があったのに。
「あれ?もう売り切れたの?僕も食べたかったんだけどなぁ。残念。で、本当にないの?」
笑顔で圧を掛けて来る兄王子。シェラザード様が溜め息を吐きながら、どこからかピタパンを出して来た。
「ありがとう、シェラ。やっぱり、僕のシェラだね。」
「貴方のものではありません。それに、用意しておかないと無理難題言うでしょう?」
「フフ、よく僕のこと分かっているね。早速頂くよ。」
キラキラしい笑顔で、潔くかぶりついた兄王子。
「これは・・・とても美味しいよ。ねぇ、シェラ。王城の僕のところに届けてくれる?」