第23章 二度目の人生でも初の学園祭
ピタパンだ。でも、口を開けて食べるのは、と言ってみたらサンドイッチもそういうものだと言われて、では、いいのか?と思い直して。
「色んな種類のコロッケがあると言っていただろう?体を動かす者からすれば、あれは魅力的な食べ物だ。」
「そ、そうですか。魅力的と言われるような大それたものではないと思いますけど。」
「そんな事はない。後、あいつらをギャフンと言わせる様な、甘い菓子がいい。皆が知らない様な。」
まさか、シェラザード様からギャフンと言う言葉を聞く時がくるとは思ってもみませんでした。一体、誰と張り合おうとしているのでしょう?
「一先ず、ピタパンは了承しました。後は、甘い物ですね。じゃあ、葡萄飴にしましょうか。」
「葡萄飴?」
首を傾げているシェラザード様は、とても可愛らしいです。葡萄はシェラザード様の領地に作っていらっしゃったので、素材に問題はないですよね。後は、飴ですね。発案者のルーズベルト様にお願いしましょう。
さて、葡萄飴はいいとして、ピタパン。私一人で作るには荷が重いのですが?
「あのパンの方は色々と工程がありまして、一人ではそう作るのは難しいのですが。」
「それなら問題ない。ウチの料理人にやらせる。アメリアは指導するだけでいい。」
あぁ、そっか・・・貴族って、そう自分で動いたりしないんだよね。まぁ、いいか。公爵家の料理人さんたちは優秀ですしね。
「材料だけ書き出してくれれば、後は手配させる。」
流石、貴族社会。前世のイメージの学園祭とはスケールが違う。で、誰なんだろう?張り合っている相手って。
それから数日後。
公爵家に来ています。総勢20名の料理人さんが整列しています。私は事前に作り方を書き出した書面を、シェラザード様にお渡ししました。
試作は何度かされた様で、唯一、味を知っているシェラザード様が何故か公爵様と共に試食をされた様です。そして、今、目の前に並べられたピタパンと葡萄飴。
やっぱり、流石公爵家の料理人さん。私が作る味よりずっと美味しいものでした。コロッケはメンチカツと定番のコロッケ、後はスモークしたチキンとローストビーフです。
適当に挟んだ私が作ったものでは無く、計算し尽くされた見た目からして美味しそうなピタパン。勘当に打ち震えそうです。
でも、幾ら美味しそうでも全種類を食べ切るのは無理です。