第22章 癇癪と殺意
宇宙人って、本当に相手をするのが大変だなぁと思う。先ず、相手の話しを聞こうとしない。そして、自分の言い分はゴリ押し。且つ、思考・行動全てが正しいと思っている。
「シェラザード様、これらの本は?」
「詫び賃に貰った。」
分厚い歴史ものの書物は、決して安くはない。それが10冊積まれている。そして、最も気になるのが詫び。
「王女の元婚約者の家に、贈らせた。これくらい安いものだ。アメリアに触れていたら、これくらいでは終わらせる訳にはいかなかっただろうからな。」
そ、そうですか。あの方のご実家から・・・。
「気になるのか?」
「えっ?」
「あの男が気になるのか?」
はっ?って、怪訝な顔をしてしまった事に気付いて、慌てて表情を通常運転に戻す。
「色男だっただろう?」
「シェラザード様、それをシェラザード様が言ったら、ただの嫌味にしかなりませんよ?」
努めて普通に当たり前に言った私。
「だが、あの男はあの国ではそれなりに一目を集めていた。人付き合いが良く、人の心の中に入るのが上手い。」
「シェラザード様、まさかと思いますが・・・その様な人になりたいと仰っておられるのですか?」
決して、今まで私が向けたことのない面白くないという眼差しでシェラザード様を見る。
「そうか・・・その顔を見て安心した。もし、あの様な男がいいと言うなら、探し出して始末しないといけない所だった。」
「はい?始末?」
「あぁ、言葉の通りの意味だ。そうすれば、私の憂いは無くなる。至極当然のことだろう?」
・・・・・・はい?
「ダ、ダメです!!か、関わったりしないでください。そんな暇があるのなら、私と過ごす時間に変更して欲しいです。」
「それもそうだな。」
転移魔法使える人だもの。行動起こしたら、確実に実行して来そう。良かった~、思いとどまってくれて。
「シェラザード様、王女は美人でしたね。」
王女だもんね。
「シェラザード様を慕う方って、皆が大人びた美人ばかりですよね。」
「それは、アメリア自身のこともそうだと言っているのか?」
「残念ながら、私は大人びてもいませんし美人でもありません。それに、そこまで自意識過剰にはなれません。」
あれ?何か、ニマニマしてる。私ではなく、シェラザード様が。あ、これってヤキモチ妬いている様に思われてる?いや、妬かない訳ではないのだけど。
