第22章 癇癪と殺意
思わず、シェラザード様の手を強く握り締めてしまった。と言うか、人前なのに手を繋いだままだった。慣れって・・・。
「怯えさせちゃった?でも、許せないよね。」
それはそれは、静かだけど激しい怒りだった。
王女は兄王子からの悪意しかない眼差しと言葉で、完全に兄王子を恐れる事になった。王子はここまで冷たく出来ない。
そして、同盟国は婚約吐破棄された人を対処してから、王女の処遇を検討するらしい。と言うことは、まだこの国に残ると言うこと。それでも、兄王子がいるから大人しくはなったのかも?
だが、そう簡単に物事が進む訳も無く・・・何故か、王女が私たちの教室にいた。そして、私の席に座っている。この鋼のメンタルこそが、王女たる所以?
我儘はそう簡単に無くなるものではなかったみたい。シェラザード様は溜め息を吐き、他に席は空いているのでそこに座ることにした。
私も隣りにと座ろうとした時、ズカズカと近付いて来た王女に腕を掴まれそうになる。でも、先にシェラザード様に引っ張られ、ストンと席に座った。
「貴女、そこをどきなさい。それと、貴女はさっさと婚約を破棄して、私に婚約者としての地位を譲りなさい。あぁ、そうだわ。私が破棄したあの者をあげるわ。」
久しぶりの宇宙人が出現しました。掴みかかって来そうだったのを、シェラザード様がその手を払いのけてくれました。
あ、これも久しぶりの瞳孔が開いた目・・・。
「私のものに気安く触るな。」
「ふ、不敬よ!!王女であるこの私にそんな言葉を吐くなんて。お父様に言って、貴方なんか首を跳ねて貰うんだから。」
「ほぅっ、この私を打ち首にか。なら、先にこの国でお前が死んでおくか?」
私は間に挟まれてオロオロするだけ。何か、お互いに人の死について簡単に口にしている。
「なっ、お、王女である私に向かって・・・。」
「この国の王女ではない。一般的な礼は尽くすが、従わないとならない謂れはない。そんなに人を言いなりにしたいのなら、自国で勝手にやってくれ。」
「僕が言ったこと、理解してなかったのかな?ねぇ、王女?」
それはそれは、口元には笑みを讃えているのに、碧眼の目は少しも笑っていない兄王子がいた。
「ひっ!?」
確かに、これは悲鳴を上げる。私も怖い。
「それと、シェラザードに殺すと言ったよねぇ?」