第21章 瞳の中の熱
「シェラ、少しいいか?」
「ロイド。分かった。アメリア、少し席を外す。」
いきなり王子の出現、相変わらずキラキラしてた。やっぱり、王子なんだな。さて、授業の用意しなきゃ。今日は朝から歴史だ。楽しみだ。
フト、指輪に目が止まり思わずニマニマ。でも、表情には出さない。指輪の台座には、アシュリー家の家紋が彫り込まれている。
出来るものなら、頬擦りしたい。自室では、たまにしてる。高価だから気に入っているんじゃなくて、色が本当にあのアメジストの瞳とソックリなんだ。
毎日がカッコイイ。
「全部が好き。」
「それって、俺の事とか?」
吃驚して隣りを見れば、あの王女の婚約者がいた。初めてこんな至近距離で顔を見た。金髪灰眼が、じっと私を見ている。
「それって、婚約指輪だよね?流石、アシュリー公爵家。素晴らしいな。で、キミはと富と引き換えに自分を差し出したのか?」
「・・・それで?」
「えっ?」
まさかの返答に、戸惑いを隠せていない顔。私はもう話しは終わったと、シェラザード様から借りている本を開き目を走らせた。
「まさかと思うけど、俺のこと放置?」
「シェラザード様が、直に戻って来ますよ。」
宝石がキラッと反応を示した。いきなり現れるのは驚くと言ったら、この指輪の反応で分かるようにしてくれた。
「あ、ひょっとして、気のない素振りをして俺の気を引かせようとしてる?」
「・・・・・・。」
すっかり、本にのめり込んでしまった私。気に障ったのか、私の肩に触れようとして、火花が散った。王女の婚約者が驚いたが、私も驚いた。
「魔道具も兼ねているのか。ちっ、忌々しい。じゃあ、これは人質だ。次に二人で会った時に返してやる。」
咄嗟に私の手から本が奪われ、足早に逃げて行った。私は呆然。あの本、アシュリー家からの借り物なのだけど。
「アメリア、何がった?」
「シェラザード様、お借りしていた本を奪われました。申し訳ありません。」
「本?あぁ、あれか。そうか・・・では、取り返さなければいけないな。」
ここでそのニヤリ感。何をするのでしょう?疑問に思いましたが、次の休み時間にはシェラザード様が引き取って来てくれました。
「あ、本?あの、私のせいでお手を煩わせてすみません。」
さぁ、次はどう出てくるやら?そんな声が聞こえた気がしました。