第21章 瞳の中の熱
「ねぇ、みんな・・・。」
フラン様の視線の先には、先に登校していたらしい王女の婚約者が令嬢二人(昨日の二人とは違う)と談笑していた。
「あのさ・・・自国でお互いに摘まみ食いし過ぎて、どうにもならなくなってこの国に来たらしいよ?ウチの従業員から聞いたんだけど。」
摘まみ食い?
「異性に粉を掛けると言う意味だよ、アメリア。」
アラン様が教えてくれた。でも、そういう知識がない私は、これにも?を浮かべている。
「う~ん、じゃあ、異性にっ!?」
シェラザード様は、何か言おうとしたアラン様の口を塞いだ。身内に向ける目ではないと思う状況。
「アハハ。アラン、シェラから説明したいようだよ。」
たまに剣呑な雰囲気になるけれど、それはきっとアラン様が天然だからだと思う。何となくだけど。
教室前で分かれては、私たちは室内に入り席に座った。
「それで、さっきのお話しはどういう意味だったのですか?」
「知らなくてもいいと言いたいところだが、簡単に言えばナンパだ。」
「はい?」
えっ?婚約者同士・・・でしたよね?それなのに、お互いがナンパしてる?何故?
「まぁ、そろそろ男の方は捨てられる頃だろうな。そうなったら、一人で自国に戻されるだろう。」
「えっ?そんな簡単に捨てたり出来るものなのですか?」
「普通なら不可能だ。でも、あの人は全てが自分中心。」
思わずこめかみを押さえる。
「と言うことは、まさか・・・今までにもそのようなことが?」
「私が留学していた時で、二回は変わっている。」
そんな国、大丈夫なの?
「あの・・・まさかと思いますけど、捨てるからまた、とか考えてらっしゃるのですか?」
「認めたくないが、そうだろうな。まぁ、トルン様もいるからそう思い通りにはならないだろうがな。」
もし、またシェラザード様を欲しいと願えば、国王様はシェラザード様を差し出すのかな?ううん、兄王子が何とかしてくれるよね?
それより、同じクラスになった王子の方は最近静かなものだけど、あれからどうしているんだろう?兄弟喧嘩以来見ていない。
「令嬢の方は、大丈夫だと思いますか?」
「ん?あぁ、問題ない。捨てられたら猶更だ。自国では、子爵家の四男だ。余程でなければ、相手にされないだろう。」
子爵家四男で、王女の婚約者だなんて大抜擢。