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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第21章 瞳の中の熱


昨日は侯爵家で夕食を共にしてから、ご帰宅されました。今朝のシェラザード様も、安定の麗しさです。いつもお迎えありがとうございます!!

「シェラザード様、これお約束のものです。」
「あ、刺繍。とても素晴らしい。ありがとう、大切にする。」

公爵家の家紋と、シェラザード様のイニシャルを入れておいた。何度やり直したか分からない、力作である。自分でもよく出来たと自賛している。

学園までの時間、ただ穏やかな時間。穏やか?じゃないっ!!

私の唇を貪るシェラザード様の胸を叩く。どうしたの?今は朝。えっ?朝だから何って?

「も、もうっ・・・。」
「許せ、つい。」
「髪が乱れていませんか?」
「いいや、可愛いよ。」

今ここで、可愛いって反則じゃないですか?それに、その瞳・・・熱が燻っている様に見えるのですが?

学園に到着し、いつもの様にシェラザード様の手を取る。いきなり引っ張られ、ポスンと腕の中に飛び込む羽目に。

「フフ、今日も私のアメリアは愛らしいな。さ、行こう。」

手を繋ぎ、校舎へと向かう。その途中で、一台の馬車が横付けされ扉が開いた。いきなり馬車の中から手が出て来た事に驚いたのは私だけで、シェラザード様はそのまま私を連れて素通り。

「ちょっと、待ちなさい。この王女の私が、エスコートをする名誉を授けようとしているのです。それを無視し素通りするとはどういうことです!!」

朝から姦しい。そして、歩みを止めない通常運転のシェラザード様。王女・・・婚約者はどうしたの?どうして一人なの?

校舎内に入ると、喧噪は聞こえなくなった。

「良かったのですか?」
「私の名を呼ばれた訳ではない。」

それはそうですけど・・・。過去のことを思えば、強くなったのかな?


「お二人さん、おはよう~。」
「おはよ。」

桃色頭の双子が声を掛けて来た。眠そうな顔のアラン様と、それに対して元気なフラン様。お二人に挨拶を返せば、ニヤニヤ顔でシェラザード様を見ているフラン様。

「シェラ、朝から賑やかだったねぇ?」
「ん?そうか?」

えぇっ、もう無かった事になってる?

「ねぇ、アメリア。大丈夫?」
「アラン様、お気遣いありがとうございます。私なら大丈夫です。」
「そう。」

少しだけニッと笑うアラン様。優しさが身に染みる。
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