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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第3章 見舞いに綺麗な花束を


ベッドの隣りに置かれた椅子に座った彼は、長いおみ足を組んでは私を見やる。持て余す程の長いおみ足で何よりです。

「あれから、ロイドの方はどうだ?また、あんな馬鹿な事をしていないか?」

あんな馬鹿な事って・・・。

「えっと・・・王子は・・・。」

また、授業中に睨まれました・・・とは言えず。でも、何と返していいか分からず黙り込む私。

そんな私の髪をあの時と同じ様に、口付けるシェラザード様。驚いてから、更に真っ赤になる。

いつの間にか、距離が近い。椅子に座っていたのに、気が付いたらベッドの傍らに座っている。

「ロイドがまた、勘違いするなら私に言え。私が追い払おう。」
「あ、ありがとうございます。」

王子相手に追い払うって・・・。

「体調を崩してた昨日の今日だ。あまり長居はしない方がいいな。」
「お忙しいですものね。」
「忙しいのはいつもの事だ。だが、あまり刺激を与えて熱がぶり返すのはよくない。今日はゆっくり休め。」

刺激ならもう充分です。本当に熱がぶり返すかもしれないです。

「では、また学園で。」

私の額に柔らかい感触。シェラザード様のあの綺麗で形のいい唇が触れた事に気付いた時には、もう彼は部屋から退出した後だった。

「えっ?今の何?」

軽くパニックになる私。そして、見事の熱がぶり返して引っ繰り返った。だって、前世でもこんなこと体験したこと無かった。

でも、婚約者でもない女性の額に触れるなんて・・・。まさか、他の女性にもそんなことをっ!?普段はあんな仏頂面なのに、実は誑し?そうなの?

だったら、これ以上近付くのは危険じゃない?嫌だよ?その他大勢の一人なんて・・・。

「お昼の場所・・・変えた方がいいかなぁ?」

月曜日の朝、大事を取ってもう一日自宅療養。と言っても、熱は完全に下がっているから、お昼からは屋敷の厨房で胡桃とカシューナッツが入ったパウンドケーキを焼いている。

更に、明日のランチ用にレモンや香草をふんだんに使ったソーセージやチーズなどの燻製作り。明日のパンはコッペパンにしよう。

スープは・・・うん、鶏ガラで作ったたまごスープだ。

「アメリア様。お花とお手紙が届いております。」

メイドのメアリーの腕には、愛らしいチューリップの花束。そして、手には見覚えのある封書があった。

「シェラザード様・・・。」

軽く眩暈を覚える。
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