第3章 見舞いに綺麗な花束を
今日、休んだから?すぐさま、お礼の手紙を書いては、アシュリー家に届けて貰った。もし、明日も休む様なら、また花束が届きかねない気がする。
そして、相変わらずの達筆の手紙の内容は、模範的な文面で体調を気遣うものだった。また、あの時のことを思い出して顔に熱が籠る。
お礼は言わないといけないけど、でも、ちゃんとああいう事をしない様に言わなくちゃ。例えそれが、二度目の自尊心を傷付けることになったとしても。
「でも・・・あのアメジストの目で見詰められたら、弱いのよね・・・。」
思わず独り言。
それに、言ったとして・・・シェラザード様が納得するかどうか。でも、フト考える。
普段のシェラザード様は、無口で女性に自ら関わって談笑する様な人に見えない。だって、氷の貴公子だもの。
なら、道ならざる相手と・・・。いや、そういうこともしそうに見えない。って、裏で何しているかなんて知り用がないけど。
取り敢えず、明日、話せる機会があったら言おう。
兎に角、あれは良くない。お互いに婚約者はいないけれど、誤解されるとお互いに面倒なことになりそう。
それに、アシュリー家に睨まれる様なことになったら・・・侯爵家とはいえ、相手は更に身分が上の公爵家だ。絶対に、潰されそうな気がする。
そんなことになって、一族揃って露頭に迷う事になったら申し訳なさ過ぎて・・・。両親も年の離れた弟も、使用人にも顔向けできない。とっても、いい人たちだけに。
只でさえ、王子のことで迷惑を掛けて来たと思う。子に甘い両親だから猶更だ。優しくしてくれる人にくらいは、優しくしたいし迷惑をこれ以上かけたくない。
「でも・・・シェラザード様のクラスに行って、呼び出して貰うなんて事もしちゃいけない気がする。うん、これは偶然を装うしかない。」
それに、シェラザード様が普段何をしているかなんて私は知らない。誰と仲がいいのかとか。あの王子のことは兎も角。
シェラザード様の友人たちから、私と関わるなとか王子の様に言われたりしていないのかな。
そんな事を考える間にも、時間は直ぐに過ぎて行った。