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転生侯爵令嬢の溺愛物語

第20章 我儘と憂いのアメジスト R18


「トルン様が、随分、心を砕いてくれたのだがどうにもならなかった。公爵家とはいえ、王族からゴリ押しされれば拒否は出来ない。王女の我儘の時も、国王は私を同盟国に差し出そうとした。」
「えっ?そんな・・・。」
「その経緯から、国王と母上が争う事になって・・・今でも、仲たがいしたままだ。」

スケールが違う。そして、今でも仲たがいしたままとは。

「あぁ、そんな顔をするな。昔から、喧嘩は母上の方が強い。随分、辛辣な事も言ったらしい。二人の王子がいるのだから、一人差し出せとか。同盟国に舐められているんじゃないのかとか。自分の子が、選ばれなかったことが悪いとか。まぁ、散々だ。」

そんな事を言う人に見えない。

「元々、この話しは昔にもあった。母上が王女だった頃だ。息子の私が言うのも何だが、母上は見目がいい。同盟として婚儀をと話しがあったのだが、母上が拒否した。母上は、父上が好きだったからな。父上もあんな感じだが、母上を愛している。で、早々に既成事実作って認めさせた。」

だから、シェラザード様のお義母様はあんなことを言っていたんだ。息子のシェラザード様に、皺寄せが行き苦しめることになったのだと。

「よく分かりました。」
「えっ?」
「分かりましたと申しました。」

シェラザード様は、何か言われるのだと思っていた様だ。確かに心配だけど、今はただ黙っているアシュリー家じゃないと思う。

「シェラザード様、お願いがございます。」
「何だ?」
「私は、ハッキリ言って強い人間ではありません。ですから、お気持ちが入った言葉を可能な限り私に下さい。それだけで、幾ら弱くても戦えると思います。」

シェラザード様は、目を丸くしてから私を抱き締めた。

「分かった。」
「シェラザード様は、私にやって欲しいことはないですか?」
「やって欲しいこと?・・・私を諦めないでくれ。それだけだ。それだけで、私は生きていける。」

力強く頷くと、嬉しそうに微笑んでくれた。

「まぁ、また同じ事が起これば・・・父上も黙っていないだろうがな。」
「えっ?」
「母上は私を産んだ時に、身体を壊されてもう産めなくなってしまった。母上が立ち直れたのは、父上の心がいつも母上に向けられていたからだ。」

素敵なご夫婦ですね。

「私も、アメリアとはいつも心を砕き仲のいい夫婦となりたいと思う。」

私もです!!

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